2008年11月1日土曜日

「非正規レジスタンス」読了

石田衣良「非正規レジスタンス」(文藝春秋 2008.8)
 新聞記事をコピー&ペーストして、小説が書かれた印象ぬぐえず。確かに、それぞれのエピソードで非正規雇用等の抱える問題の深刻さ(母子家庭、ネットカフェ難民など)は描かれているが、いずれも当事者らの心境や背景がずしんと腹に落ちてくる感なし。最近、読み返していた鷺沢萠、高村薫などの一連の作品群と比べてしまうからかもしれない。
 いずれにしても、現在進行形の問題という困難さを克服して、いわゆる「格差問題」を的確に描き出す力量をもった小説・映画の登場が待たれる。視野を外国に転じれば、ケン・ローチ監督の一連の作品にその可能性が見出されるのではないだろうか(近作として「この自由な世界で」)。

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