2009年9月28日月曜日

最近みた映画ー空気人形ーのことなど


 是枝監督の新作で、しかもペ・ドゥナが主演しているからには見ない訳にはいかぬと思い、公開初日に立川まで見に行ってまいりました(映画公式HPはこちら)。

 深い味わいの残る作品ですので、軽はずみに「感動した」などと言えないのですが、しばらくは時折この映画のことを思い出しては、色々と物思いにふけることとなりそうです。特に主人公たちの隣人である父娘をどう見るかについて、個人的に宿題としております。

 それにしても、東京の風景は美しくも、儚いものですね。本作の撮影は、ウォン・カーウァイ監督の「花様年華」などで知られるリー・ピンビン氏が担当されたとのことですが、月島の風景など忘れ難いものがあります(ぜひ公式HPをご覧ください)。

 現代東京の街とそこに住み人々に関心がある外国の方には、末永く良いガイドになることでしょう。

2009年9月26日土曜日

山梨のぶどう狩り


 先日、JRのお座敷列車にのって、ぶどう狩りに行ってきました。最寄駅から約1時間半ほどで、全くの別世界に行けるというのは、本当に有難い。また、お座敷列車は快適そのもの。















 巨峰が美味しそうに実っていました。

2009年9月25日金曜日

派遣法改正の動向について


 厚労省HPに長妻大臣の記者会見がUPされております(こちら)。この中に派遣法改正に関するコメントが以下のとおり、掲載されております。

(記者)

派遣労働についてですが、製造業派遣の原則禁止などを盛り込んだ労働者派遣法の改正案はいつ提出されるおつもりかということと、労政審議会の議論を経るなど、これまでどおりの手続きを踏んでいくのでしょうか。

(大臣)

通常国会で野党として法案を提出いたしましたが、これについては、我々は製造現場への労働者派遣は原則禁止ということを言っております。ただ、例外的に、製造現場における専門業務については例外だということで、その定義も我々持っておりますけれども、実際には政令で定めるということになりますので、これについては、現場に詳しい専門家を交えた検討というのも欠かせないと考えておりますので、そういうプロセスを辿って実施に向かっていきたいと考えております。決めるプロセスについては、与党ですから議員立法ということがあるのかないのか、あるいは閣法の場合は決められたプロセスがあるわけですので、十分関係各所とも御相談のうえ、進めていきたいと考えております。

 衆院解散前の通常国会において、すでに民主党・社民党・国民新党3党が合同で派遣法改正案を提出しています(こちら なお衆院解散のため、廃案)。同法案を再度提出し、速やかな成立を目指す可能性が指摘されておりましたが、大臣会見を見ると、「現場に詳しい専門家を交えた検討というのも欠かせない」「プロセスを辿って実施に向かっていきたい」などとコメントしています。これを見ると、改めて専門家による研究会および厚労省内の審議会で公益・労・使の3者で議論の上、法案を取りまとめていく意向が強いように思われるものです。今後の動向が注目されるところです。

 なお厚労省の副大臣に細川律夫氏が就任することとなりました。細川氏は野党3党による派遣法改正案の取りまとめなどを行っており、労働政策のかじ取りは主に同副大臣が行うこととなりそうです(細川副大臣のHPにおけるコメントとして、こちら)。


2009年9月17日木曜日

松下PDP事件上告審の弁論指定について


 松下PDP事件上告審について、最高裁第2小法廷は上告受理の上、弁論指定を行った旨、報じられております(時事ドットコム こちら)。最高裁が弁論指定を行う場合は、控訴審判決の見直しを行うことが通例とされています。

 松下PDP控訴審判決については、社会的に大きな注目を浴びましたが、労働法学上も「黙示の契約成立の成否」、「派遣法違反と職安法違反(労働者供給事業の禁止)との関係」などの論点について、議論が絶えないところです。

 最高裁がこれらの論点に対して、まとまった判断を示すことが確実ともいえ、来年には示されるであろう判決が大変注目されるところです。

2009年9月16日水曜日

人事のこと


 nikkei newsによると厚生労働大臣に長妻氏が内定とのこと(こちら)。これからの厚生・労働行政をどのように展開されるのか、また今後、行政内部がどうなるのか、興味が尽きません。

 ただ一つ願うことは、日々の地道な仕事もしっかりと見据えた上で、大臣の職責を果たしていただきたいということでしょうか。

改正労基法における中小事業主の範囲について

 最近、来年4月から施行される改正労基法への対応に係る相談が増えてきています。その相談の中で多いものの一つとして、中小事業主の範囲があります。

 今回の改正では、月間60時間を超える時間外労働に対して、割増賃金率が5割に引き上げられたものですが、中小事業主については、その適用が猶予されることになりました(※法施行から3年経過後に改めて検討予定)。

 問題は、この中小事業主の範囲です。今回の改正法では猶予される中小事業主の範囲を次のとおり定めます。

 ①資本金の額若しくは出資の総額が
    小売業 5000万以下
    サービス業 5000万以下
    卸売業   1億円以下
    上記以外 3億円以下
または
 ②常時使用する労働者数が
    小売業 50人以下
    サービス業 100人以下
    卸売業   100人以下
    上記以外  300人以下
※事業場単位ではなく、企業(法人または個人事業主)単位で判断。また労働者数にパート・アルバイトは原則として含まれる(ただし日々雇用等は除く 中小企業庁Q&A Q4参照(こちら))。

 この①または②いずれかを満たした事業が、特別割増賃金引き上げが猶予される中小事業主となります。したがって、例えば小売業で労働者数が150人いるが、株式会社で資本金が1000万に留まる場合は、ここでいう「中小事業主」に該当し、特別割増については適用が猶予されることになります。

 分かりにくいのが、ここでいう業種の判別です。例えば、飲食業を例にしてみると、一般にはサービス業にあてはめられると思われます。その一方、総務省統計局が出している日本標準産業分類に目を転じると、大分類で独自に「M 飲食店・宿泊業」が設けられており、「Q サービス業」と異なる区分をされています(日本標準産業分類はこちら)。その上、中小企業庁が中小企業基本法に定める中小企業者の定義Q&Aをみると、何と飲食店は小売業と同じ取扱いをするとの表記があるものです(こちら Q9参照)。

 ここまで調べて頭がくらくらしてきましたので、管内の労基署に確認したところ、「局に聞いてください」との回答(このような対応は如何なものか・・・・)。そこで労働局労働時間課に確認したところ、大変、明快な表をご紹介いただきました。東京労働局HP等に中小企業の業種一覧がUPされております(こちら)。

 ちなみに施行通達には以下の記載が見られます。「法第138条の中小事業主」の判断における業種の分類は、日本標準産業分類(平成21年総務省告示第175号に基づくものであること」。どうも解せない気がいたしますが、まずはこの表をもって業種の判断をおこなうこととなります。

 先の飲食店については、一覧をみると、中小企業基本法に従い、「小売業」に該当することとしています。同様に「医療・福祉」、「教育・学習支援業」などは日本標準産業分類の大分類において独立していますが、「サービス業」に該当することとなります。なお「社労士事務所」「弁護士事務所」などの「学術研究、専門・技術サービス業」も大分類上独立していますが、同じく「サービス業」に該当するとのこと。資本金が5000万を超え、かつ常時使用する労働者数が100名を超えている同業者様がいらっしゃれば、改正労基法が晴れて全面適用されることになりますが、存在するのか否か、大変興味があるところです(笑)。

 改正労基法の中小事業主の適用範囲のとおり、「その他の業種」にあたるか、あるいは「小売」「卸売」「サービス業」か否かで、その労働者数および資本金等が大きく異なってきます。改めて、同表に照らし、自社がどの業種にあたるのか確認することが肝要です。

 なお一つの事業主が複数の業種にまたがる事業展開を行っている場合は、施行通達において以下の記載が見られます。ご参考ください。「一の事業主が複数の業種に該当する事業活動を行っている場合には、その主要な事業活動によって判断されるものであること。主要な事業活動とは、過去1年間の収入額・販売額、労働者数・設備の多寡等によって実態に応じて判断されるものであること」。

2009年9月11日金曜日

夏休みの宿題を提出して



 昨日、労働法律旬報2009.10月上旬号掲載予定の「東芝事件判例評釈」を出版社に校正戻しをいたしました。夏休みの宿題をようやく提出し終えたような気がしてなりませんが、もう季節は秋。すでに2週間ほどの提出期限超えで、学校であれば不可となることでしょう(笑)。

 保育園はもうあきまつりを迎えています。

2009年9月3日木曜日

労働条件履行確保と事業許可取り消し(タクシー業)


 国土交通省が過重労働等を理由に、都内大手タクシー業者に対し事業許可取り消し処分を行ったことが報じられています(asahi.com 09.09.01)。

 同事案の詳細については、国土交通省関東運輸局HPでプレス発表をUPしていました(こちら)。それを見ると、指導の経緯と内容が一覧表の形で分かりやすく紹介されています。

 これをみると、A営業所が平成19年に陸運から指導されていたにもかからわず、その後、改善が見られず、労基署の監督指導⇒陸運への情報提供⇒陸運当局の2度目の厳しい指導 という流れが見てとれます。

 改善基準告示(参考資料としてこちら)における拘束時間、休息時間に係る指導に対する改善が見られなかったことが、今回の厳しい行政対応の背景にあるように思われます。とくに平成21年2月の指導にある「指導監督不適切」には、陸運当局の強い姿勢が感じられます(運輸規則条文はこちら)。

 本件とは別の動きですが、最近では、国土交通省は社会保険料未納付(健保・厚生年金・労災・雇用保険)についても、道路貨物運送業者等の監査事項としており、違反が見られた場合、車両停止などの行政処分を行っています(こちら)。

 省庁縦割りと言われ続けていますが、以上の動きにみられるとおり、厚生労働行政と国土交通行政が連携を取り、労働条件・社会保険制度監督への取り組みが見られるところです。柔軟かつ多様な「労働基準等」の履行確保手法の好例といえるでしょう。

 ただし、その基準が公平なものであり、かつ明確であることが必要不可欠と思われます。ここで基準自体に不公平感、不明確さが残れば、監督指導を受ける側には混乱と不満しか残りません。その点については、更に検討が必要でしょう。