どうする、どうなる派遣法改正案
今、労働法制において最も注目されているのは、派遣法改正案に他なりません。
11月4日、政府は派遣法改正案を閣議決定し、本国会に政府案を提出いたしました。政府案として取りまとめるまでが大変な難産でしたが、ここから先もその苦難の道に変わりはありません。むしろ更なる断崖絶壁の山道をのぼっていく運命のようです。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/11/h1104-1.html 派遣法改正法案要綱(政府案)
http://www.roudou-kk.co.jp/archives/2008/09/20924.html 同改正法案の簡単なコメント
現在、会期中の臨時国会は11月30日を会期末として予定しています。3週間以上残されてはいますが、衆参ねじれ状態の中、スムーズに法案審議、可決が進められていくかは定かではありません。与党側は民主党案に対し一定の譲歩を行い、修正案を取りまとめることにより、会期末までの成立を目指していたものと思われます。現に民主党案と政府案を比べてみると、日雇い派遣規制の対象を「30日」(政府案)とするか、「2か月」(民主党案)とするかが目立った相違点であり、その他の点については、さほど大きな対立点はないように思えます(労働法の視点からみると、民主党案にはその他、派遣先への労組の団交権保障、派遣先との均等待遇など目を引く点はあります)。
http://www.dpj.or.jp/news/?num=13148 民主党派遣法改正法案
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_4cfb.html (濱口桂一郎先生コメント)
しかしながら民主党は党内で取りまとめていた民主党案をそのまま国会に提出するのではなく、他の野党との協議の上、改めて政府案への対立法案を提出するかまえを見せています。
http://www.47news.jp/CN/200811/CN2008110601000745.html 共同通信2008.11.06
他野党は日雇い派遣規制のみならず、登録型派遣の全廃などを求めており、政府案との隔たりは大きいものです。民主党が他野党との「共闘」を意識すればするほど、本国会における派遣法改正案の成立は難しいと思われます。
仮に派遣法改正案が本国会で先送りをされた場合はどうでしょうか。まず年末、年初の解散総選挙があった場合は、政府案(民主党等が対立法案を提出した場合は、同対立法案含む)は廃案となります。また改めて、閣議決定の上、出しなおす必要が生じますが、その際、どの政党が「与党」であるかは「神のみぞ知る」こととなります。
これに対し、解散総選挙が先送りされた場合は、次の通常国会において、改めて審議されることとなりますが、先の構図がそのまま引き継がれます。
審議がこの調子で先送りされ続けた場合は、最高裁が松下PDP事件、いよぎんスタッフサービス事件に対する判断を示す可能性が出てきます。この場合、同上告審判決が立法にも、相当程度影響を及ぼすものと思われるところです(最高裁がそのような「使われ方」を嫌って、あえて判決を先延ばしする可能性もあるとは思いますが・・)。
いずれにしましても、派遣法は本年末から来年にかけて、大きく変わっていく過程にあることは間違いがなさそうです。
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