昨日(5月26日)、厚生労働省か「職場における受動喫煙防止対策に関する検討会」報告書をプレス発表しました(こちら)。
報告書のポイントとして次のものが挙げられています。
1 今後の職場における受動喫煙防止対策の基本的方向
・ 快適職場形成という観点ではなく、労働者の健康障害防止という観点から取り組むことが必要。
・ 労働安全衛生法において、受動喫煙防止対策を規定することが必要。
2 受動喫煙防止措置に係る責務のあり方
・ 労働者の健康障害防止という観点から対策に取り組むことが必要であることから、事業者の努力義務ではなく、義務とすべき。
3 具体的措置
・ 一般の事務所や工場においては、全面禁煙又は喫煙室の設置による空間分煙とすることが必要。
・ 顧客の喫煙により全面禁煙や空間分煙が困難な場合(飲食店等)であっても、換気等による有害物質濃度の低減、保護具の着用等の措置により、可能な限り労働者の受動喫煙の機会を低減させることが必要。
4 事業者に対する支援
・ 事業場の取組を促進するため、技術的支援及び財政的支援を行うことが必要。
5 今後の課題
・ 現状では直ちに禁煙とすることが困難な場合においても、国民のコンセンサスを得つつ、社会全体としての取組を計画的に進めていくことが必要。
同研究会報告では、労働安全衛生法において、受動喫煙防止を事業主の「法的義務」とすることを提案しています。それでは、この法的義務として、如何なるものを想定しているのでしょうか。
まず上記3で記載されているように、一般のオフィス・工場では全面禁煙または空間分煙とすること。またサービス業の店舗においては、換気、保護具(?)などの着用による受動喫煙の低減措置を法的に義務づけることなどが想定されているようです。また研究会報告書本文を見ると、サービス業店舗については、同低減措置を講じた上で「更なる上乗せの対策メニューとしては、ばく露時間短縮するための禁煙タイムの導入、人員配置に係るローテーションの導入等が考えられる」と提言されています。
その他としては以下の措置を何らかの形で法制化することも提案されています。
「事業場内で行う受動喫煙防止対策の取組について、これを検討する組織や責任者を明確にするなど、体制を整備することが必要である。その際、労働衛生スタッフの参画や連携を図る他、既存の衛生委員会等の活用を行うことが考えられる。受動喫煙防止対策の取組を確実に実施するためには、喫煙区域又は禁煙区域を明確に示すことが重要であることから、区域分けの表示等を行い、労働者等に周知することが必要である。受動喫煙防止対策の取組を円滑かつ継続的に実施するためには、事業者及び労働者双方が対策の必要性を理解することが不可欠である。このため、事業者及び労働者に対して、受動喫煙による健康影響について教育を行うことが重要である。
なお、建物内を全面禁煙にする事業場については、屋外に喫煙所等を設置することが考えられるが、その場合には、たばこ煙が屋内に流入しないことや付近を通る労働者がたばこ煙にばく露しないよう配慮することが必要である。」
これから労働政策審議会において、受動喫煙防止に係る労働安全衛生法改正案の検討が本格化することになります。恐らくは来年の通常国会への法案提出を目指しているものと思われますが、同改正案は企業の総務部門、更にはサービス業(特に飲食・娯楽業)に対するインパクトが大です。法的義務とするとしてもその方法(具体的措置を全て労働安全衛生法、規則に明記するか、あるいは包括的な義務規定のみ定め、具体的な細則はガイドラインとするのか)、その履行確保手段が如何なるものとなるのか(罰則の有無、罰則規定を設けない場合の履行確保手段など)を含め、同法改正の動きに注目する要がありそうです。
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