2010年5月14日金曜日

旅行添乗員の事業場外みなし労働適用について

 先日(5月11日)、東京地裁で旅行添乗員の事業場外みなし労働の適用を否定し、未払い残業代とともに同額の付加金支払いを命じた裁判例が出されました。会社側は控訴するようです(asahi.comはこちら)。

 同問題については、すでに労基署においても、事業場外みなしの適用を否定し、是正勧告を交付する例が相次いでいる上、労働審判においても、同適用を否定する旨の審判が示されておりました。

 労基署の是正勧告書において、事業場外みなし適用を否定する理由の一つとして挙げられているのが、旅行日程です。私もたまに家族と国内バスツアーを利用することがありますが、どこに何時に立ち寄るか事細かに定められています。添乗員も当然に、その旅行日程を遵守するべくガイドされているものですが、この結果、同添乗員については「事業場外」とはいえ、その就労状況の把握は極めて容易といえます。また同添乗員が旅行日程に反した就労を行うことは、通常不可能といえます(旅行日程に反するということは、職場放棄を意味し、顧客からクレームが出ることが必至)。

 先日の東京地裁判決はまだ未入手ですが、報道を見る限り、同様の判断を行ったものと思われます。会社側は控訴する意向のようですが、かなり厳しいと思います。他方、事業場外みなしの適用が否定された場合、労働時間の把握が問題となります。これについては、旅行同行中における添乗員の「休憩時間」が論点となりうるでしょう。

 ところで先日、某国のバスツアーを楽しんだところ、同添乗員の対応に新鮮な驚きを受けました。目的地に着けば、もうお客任せ。何もアテンドいたしません。お客さんもそれに何ら不満なく、ぞろぞろと好きなところに行って、定刻までに帰ってきていました。日本の場合、あまりにお客に過保護すぎる(お客も甘えすぎる)ような気もいたします。バスツアーを愛用する立場からいえば、添乗員の長時間拘束(労働?)問題も、この辺りの問題がキーポイントであるように感じます。

 

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