2010年5月24日月曜日

今国会で派遣法案は成立するのか?(平成22年5月24日現在の個人的観測)

 本ブログにおいても、たびたび取り上げている改正派遣法案ですが、その法案審議が一向に聞こえてきません。衆議院のHPを見て、ようやく状況が見えてきました。

まず4月23日の衆議院厚生労働委員会において、自民党・改革クラブ等が欠席の中、改正派遣法案提案理由の説明(長妻大臣等)および社民党・民主党との質疑がなされています。

 その後ですが、5月12日の流会以後、同委員会では派遣法案の審議はなされておらず、児童扶養手当法案、厚生系の独立法人改革法案の審議が先に進められています(5月21日まで)。今週も恐らく水・金に厚生労働委員会が開催されると思われますが、独法改正案の審議終結・採決が行われた後、また「改正派遣法案」の審議入りに入るか否かが、大きな焦点となりそうです。

 衆院HPに5月14日の厚生労働委員会議事録が掲載されております。同日は主に児童扶養手当法案が審議されていましたが、その際、大村衆院議員(自民党 前厚生労働省副大臣)と長妻大臣の間で、次のようなやりとりがされており、4月末以降の経緯が「何となく」伺えるものです(衆院HP 厚生労働委員会議事録はこちら)。

○大村委員 次に参ります。

 労働者派遣法の取り扱いについてでございます。これは一言だけ申し上げたいと思います。

 労働者派遣法の法案に入っていたかと思いましたら、今回はこの児童扶養手当の法律に入るということであります。与党側の要請でありますから、予算関連ということもあって我々は受け入れました。ということは、労働者派遣法については、この改正はあきらめたということでよろしいですか、長妻大臣。

○長妻国務大臣 これは、内閣として閣議決定をして国会に出させていただいておりますので、もう速やかに成立をしてくださいということをお願いしているところでございます。

○大村委員 どうやってやるんですか。では、この児童扶養手当をやめて派遣法にしましょうか。それでもよろしいんですか。お答えください。

○長妻国務大臣 基本的に、国会でその段取りというのは話し合っていただくことだと思いますけれども、私としては、これは内閣として閣議決定をして提出した法案でございますので、当然成立をお願いするという立場でございます。

○大村委員 いや、議院内閣制ですから、政府・与党一体で調整をしながらやっているというふうに承知をいたしております。そういう中で、与党側から、本来の派遣法を、重要広範議案である派遣法をやっているところをやめて、この児童扶養手当をやってくれということですから、それはそれで了解をしたわけでありますけれども、そういうことをやって、次はまた独法の法律をやるということで与党側から要請をいただいております。

 そういうことになってきますと、この派遣法についてやるということには、率直に言って、もう残りの会期を含めてはなかなか難しいと言わざるを得ないというふうに思います。ですから、この派遣法について、もうこの国会ではあきらめた、これはもういいんだということでよろしいかということを聞いているのでありますので、答弁をいただきたい。(発言する者あり)

○藤村委員長 静粛に願います。静粛に願います。

○長妻国務大臣 これは繰り返しでございますけれども、内閣として閣議決定をして、国会に審議をお願いしている法律でございますので、成立をお願いするという立場でございます。

○大村委員 では、この後、理事会で協議しましょうか。やめましょうか、これを。派遣法に戻しましょうか。やめましょう、それだったら。後ほど理事会協議しましょう。そういう不誠実な、あなた方からこの児童扶養手当そして独法をやってくれということを言ってきたから、本来イレギュラーだけれども、これを受け入れて、この児童扶養手当、そしてこの後独法ということを、日程協議もしながらやってきたわけです。そういう意味で、民主党を初め、この国会のルールというのを全く理解していない。その点については極めて問題だということを申し上げておきたいというふうに思います。

 この派遣法についてはもう事実上難しいということを正直に認めて、この後、では、この派遣法について、いろいろな課題、問題点がある。関係の皆さんは非常に不安になっている。実際、派遣で働いている人たちの雇用ももう維持できないんじゃないか、そういうふうな不安もある。中小企業の人材の確保もできないんじゃないか、そういういろいろな問題点があって、私は、事務方にもいろいろな資料も、データも含めてこれは要求しておりますけれども、そういったシミュレーション、それからそういった対策も全然出てこない。したがって、この派遣法については引き続き、さらにさらに、もっともっと問題を深掘りにして議論していこうということを申し上げているのでありますけれども、なかなかそのデータが出てこない。

 そういう中で、この法案を、こちらを先にやってくれということでありますから、私は、これはちょうどいい時間ができた、十分これから、まだ秋は通常国会があるかどうかわかりませんけれども、そのままいけば、また来年の通常国会ということになろうかと思いますが、それに向けて十分これは問題点を議論し、深掘りをしていきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。


 なかなか盛り上がっています。これは実況中継を見たかったですね(笑)。それはともかく自民党側は同法案に対する強い疑念を示しており、慎重な審議を求めるスタンスを取っていることが明らかです。これに対し、民主党がどこまで同法案成立に熱意を持っているか(つまりは強行採決するか否か)。通常国会の会期延長がない限り、それは今週末に明らかとなりそうです。色々と現与党連立政権内における「政治的」に難しい問題も絡み、どうなることか予断を許しません。

 個人的には大村先生のご議論とりわけ「この派遣法については引き続き、さらにさらに、もっともっと問題を深掘りにして議論していこうということを申し上げている」とのご主張はもっともではないかと思うところではあります。

0 件のコメント: