2010年1月28日木曜日

平成22年通常国会提出法案の動向2(派遣法)

 先日、改正雇用保険法案が通常国会に提出されました(閣法)。法律案要綱などはこちらにUPされています。

 厚労省内に新たに設置された政策会議資料において、本通常国会に提出する法案が一覧で示されていますが、これを見ると、改正雇用保険法のほか、改正派遣法案、改正確定拠出年金法案などの提出を予定しているようです(こちら)。

 派遣法については、前回ご紹介のとおり、昨年末に審議会報告書(こちら)が示され、現在、同答申を基に厚労省が法案要綱案策定の準備に着手しているところです(同報告書についての解説はこちら)。

 登録型派遣および製造業務派遣の原則禁止が実務的に大変注目されている訳ですが、同改正法案には更に実務的に大きな影響を与える可能性がある改正案が含まれています。
 それは「違法派遣の場合における直接雇用の促進」です。同報告書では、以下のような記述が見られます。
「違法派遣の場合、・・派遣先が、以下の違法派遣について違法であることを知りながら派遣労働者を受け入れている場合には、違法な状態が発生した時点において、派遣先が派遣労働者に対して、当該派遣労働者の派遣元における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約を申し込んだものとみなす旨の規定を設けることが適当」とした上で、次の事項をみなし雇用の対象とします。

④いわゆる偽装請負(労働者派遣法の義務を免れることを目的として、労働者派遣契約を締結せずに派遣労働者を受け入れること)の場合

 この④がみなし雇用に含まれる結果、改正派遣法案は派遣のみならず、いわば「グレーゾーンの請負・委任契約」に対する規制を強化する方向で舵を切ることになります。
 確かに請負・委任活用が、派遣形態のものときちんと区別しておけば、同改正法案は請負・委任に対する規制強化につながる訳ではないのですが、実態を見ると、今なお派遣請負区分基準に照らし、現場で悩むケースが多いように思われます。
 本報告書を注意深く読むと、派遣先の「違法性の認識」をみなし雇用の前提としているため、偽装請負即「みなし雇用」にはならないと思われますが、この「違法であることを知りながら」の判断基準によっては、限りなくそれに近い運用がなされる可能性もあります(緩やかな解釈)。今後の国会審議等、さらには法案が制定された場合の施行通達等を注視する要があるものです。 

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