2012年7月12日木曜日

胆管がん問題と国の規制(1,2-ジクロロプロパン)

 昨日のブログでは主に「ジクロロメタン」に対する法規制(MSDS等)を取り上げましたが、今回の胆管がん問題で悩ましいのが1,2-ジクロロプロパンです(MSDSの一例としてこちら)。同シートのとおり、ジクロロメタン(有機則等の適用)に比べて、同物質自体に対する法規制は手薄です。

 厚労省も同化学物質の危険性を軽視していた訳ではなく、がん原性検査(検討過程はこちら)の上で、平成23年10月に「1,2-ジクロロプロパンによる健康障害を防止するための指針」(見やすいものとして、さしあたりこちら)が策定されたところでした。

 今後、専門家調査によって「1-2-ジクロロプロパンと胆管がんとの間の因果関係」が明確に認められた場合、国側の規制不備・遅れに対し、行政権限不行使に係る国家賠償責任が問われる可能性はありそうです。とはいえ、前述のとおり国側もがん原性検査の上、一定の規制を指針レベルで行っていた経緯もあり、全くの不作為ともいえません。同問題が争われた場合、当時の科学技術の水準に照らして、当該行政規制が「遅れた」「不備」であったといえるのか否かが法的に問われることになろうかと思います。

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