今朝(6月29日)の日経新聞HPに以下の興味深い記事が掲載されていました(こちら)。
日航、定年後の再雇用凍結 事業の大幅縮小で
日本経済新聞 - 8時間前
会社更生手続き中の日本航空は28日、60歳以上の定年退職者を契約社員として再雇用する制度を当面凍結する方針を固めた。今秋以降に国内外45路線を廃止するなど事業規模を大幅に縮小するため、退職者に就業機会を提供するのは困難と判断した。 ...
この記事だけでは断定できませんが、JALは高齢者雇用継続措置として、60歳定年後の継続雇用制度を行っていたようです。今回、会社更生に伴う事業再編にあたり、同継続雇用制度をいったん「凍結」する方針を固めたとの事。
高齢者雇用安定法を改めてひもとくと、平成22年4月からは64歳までの社員で希望する者に対し、雇用継続措置を行うことを求めておりますが、条文上「会社更生手続き会社は除く」とか「経営危機に陥った会社は除く」などの除外規定は設けられていません。厚労省が同法に対するQ&Aを公表していますが、その中においても、そのような特例を容認するものはみられませんでした。むしろ以下のQ&Aからみると、そのような例外を認められないとする見解と思われます(Q&Aはこちら)。
NEW!
Q16:Q7のとおり継続雇用制度の対象者に係る具体性・客観性のある基準を定めたのですが、その基準に該当する者全員の雇用を確保しなければ、改正高年齢者雇用安定法に定める高年齢者雇用確保措置を講じたものとは解釈されないのでしょうか。
A:継続雇用制度の対象者の基準に該当する者であるにもかかわらず継続雇用し得ない場合には、基準を定めたこと自体を無意味にし、実態的には企業が上司等の主観的選択によるなど基準以外の手段により選別することとなるため、貴見のとおり改正高年齢者雇用安定法に定める高年齢者雇用確保措置を講じたものとは解釈されません。
労使協定で定めた基準に該当した社員が雇用継続を希望するものの、「会社の経営が厳しいから」という理由で雇用継続を認めないことは、上記Q&Aによると「法に定める措置を講じたものとはいえず」、行政指導の対象になりうるものと思われます。
上記日経NEWSによると、一部労組がこの点について懸念を指摘しているようですが、JAL管財人が「関係省庁からは一定の理解を得ている」とコメントしています。この関係省庁が厚生労働省なのか(経産省?)、また一定の理解とは何を指すのかが、大変気になるところです。この問題はJALに留まらず、大変波及効果が大きい問題であるため、厚労省も早々に見解を明らかにしていただきたいものです。
2 件のコメント:
ご存知だと思いますが、以下のような判例が出ています。
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20100629000186
今回の件にも影響があるかもしれません。
ブーランツアス様 ご教示誠にありがとうございました。紹介いただいた裁判例は誠に参考になります。今後、専門誌に掲載されることと思われますので、その際、改めて検討をしてみたいと考えております。
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