2008年12月15日月曜日

野党3党による「有期労働契約遵守法案」について

 平成20年12月15日、民主党、社民党、国民新党の野党3党が参議院に「緊急雇用対策関連4法案」を提出した旨、報じられています(中国新聞)。その中には「有期労働契約遵守法案」が含まれていますが、同法案はどのような内容なのでしょうか。法案成立の目途については神のみぞ知るものですが、政治情勢不安定の中、思いがけずに急転直下、成立する可能性も否定できません。一応はフォローしておく要があるものです。

 同法案の内容については、民主党HPに法案要綱等が掲載されていました。同法案は労働契約法17条以下に、有期労働契約者の雇用保護を目的とした以下の規定を追加することを目的としています。

1 有期雇用契約締結の目的規制  
 臨時・一時的業務、休業労働者の代替要員など一定の事由がある場合に限り、有期雇用契約の締結を認めるものとする(同事由に該当しないものは、有期労働契約として認めない→無期契約とみなす)。

2 有期労働契約者等に対する差別的取扱いの禁止

3 有期雇用契約の雇止めに対する規制
 有期雇用契約の更新を本人が希望し、かつ、前の有期雇用契約の更新回数、勤続年数その他事情に照らして、更新をしないことが客観的に合理性を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、使用者がその更新を拒んではならないとするもの。

その他、労働者側の退職の自由(1年を超える有期契約における、期間中途の退職の自由)、雇止めの予告等。

(コメント)
 思うに1~3いずれも労働法制全体にかかわるものであり、慎重な検討の上、進められるべき立法課題と考えます。とくに1の目的規制については、これを導入することにより、雇用市場全体が冷え込む懸念もあり、慎重な検討が不可避ではないでしょうか。また3については、民主党案を見ることにより、改めて有期契約の雇止め法理を立法化することの難しさを痛感させられました。いずれにしても同法案に対し、世論がどのような反応を示すものなのかが、大変気になるところです。今後の労働法制の将来像を占ううえでも、注目されます。
 

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