2009年9月3日木曜日

労働条件履行確保と事業許可取り消し(タクシー業)


 国土交通省が過重労働等を理由に、都内大手タクシー業者に対し事業許可取り消し処分を行ったことが報じられています(asahi.com 09.09.01)。

 同事案の詳細については、国土交通省関東運輸局HPでプレス発表をUPしていました(こちら)。それを見ると、指導の経緯と内容が一覧表の形で分かりやすく紹介されています。

 これをみると、A営業所が平成19年に陸運から指導されていたにもかからわず、その後、改善が見られず、労基署の監督指導⇒陸運への情報提供⇒陸運当局の2度目の厳しい指導 という流れが見てとれます。

 改善基準告示(参考資料としてこちら)における拘束時間、休息時間に係る指導に対する改善が見られなかったことが、今回の厳しい行政対応の背景にあるように思われます。とくに平成21年2月の指導にある「指導監督不適切」には、陸運当局の強い姿勢が感じられます(運輸規則条文はこちら)。

 本件とは別の動きですが、最近では、国土交通省は社会保険料未納付(健保・厚生年金・労災・雇用保険)についても、道路貨物運送業者等の監査事項としており、違反が見られた場合、車両停止などの行政処分を行っています(こちら)。

 省庁縦割りと言われ続けていますが、以上の動きにみられるとおり、厚生労働行政と国土交通行政が連携を取り、労働条件・社会保険制度監督への取り組みが見られるところです。柔軟かつ多様な「労働基準等」の履行確保手法の好例といえるでしょう。

 ただし、その基準が公平なものであり、かつ明確であることが必要不可欠と思われます。ここで基準自体に不公平感、不明確さが残れば、監督指導を受ける側には混乱と不満しか残りません。その点については、更に検討が必要でしょう。

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