2009年4月7日火曜日

パワハラ等に係る労災判断指針変更について

 昨日(平成21年4月6日)、厚労省HPに「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」がUPされていました。いわゆる職場内パワハラ等による精神疾患に係る労災の業務上外判断指針を変更したものです(こちら)。
 以前のブログに研究会段階での変更の経緯とそのポイントをまとめております。まずはこちらをご覧いただければ幸いです。

 今回の改正のポイントは 「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」を出来事に追加の上、(強度3)とした点ですが、これを「上司とのトラブル」「部下とのトラブル」(強度2)、「同僚とのトラブル」(強度1)とどのように判別するのか。事案によってはその判断に争いが生じることが予想されるところです。

 今回の改正の基になった有識者研究会報告書の該当部分には次のような記述があります(こちら p7)。「その内容・程度が業務指導の範囲を逸脱し、人格や人間性を否定するような言動が認められる場合には、ひどい嫌がらせ、いじめ等に該当する」。

 先日ブログで紹介した裁判例における上司の言動は、まさにこれに当たるということでしょうか。少なくとも、同判断指針変更に伴い、改めてマネージャー層については、部下の指導にあたり「人格・人間性否定と取られるような言動」は断じて認められない旨、社内教育・周知を徹底する要があるやもしれません。

付記ーパワハラ言動の記録化についてー
 昨日のNHKニュースを見ておりましたら、パワハラ労災認定の見直しが大きく報じられていました。その中で印象的であったのが、パワハラ被害を主張する社員所有の携帯電話に録音されていた営業所員の生々しいパワハラ言動でした。おそらくは同所員は録音されることなど想像だにせず同発言を行ったのでしょうが、今日では携帯電話、固定電話はもとより、胸ポケットに入れたICレコーダー等で記録化することは容易です。
 上司等が部下に対して不適切な言動を行わないことはもちろんですが、記録化されている可能性があることも念頭に入れながら、業務指導を行わなければならない時代が到来していることが痛感させられました。特にこの問題は本社以上に、多店舗展開する店舗・営業所のマネージャー等のマネージメントが懸念されるところです。チェーン展開している会社において、直営店舗等で勤務する契約社員・パート・派遣等に対して、店舗店長等が不適切な言動を行った場合、即、会社の法的リスクが顕在化することになります。その被害の記録化も大変容易であることから、従来以上に現場レベルでの社内教育・周知の徹底が求められるところと思われます。

0 件のコメント: