2009年10月16日金曜日

求職と生活保護、ハローワークで一括申請の動きについて

 今朝の読売新聞等に標記の記事が掲載されていました。「求職と生活保護、ハローワークで一括申請へ」(こちら)。一般論として、いろいろな役所に行かなくても済むことは、利用者にとって誠にありがたい話ではあります。

 しかしながら、この問題は申請窓口一本化で済む話とは思えません。ハローワークの就職斡旋、雇用保険給付等と市町村の生活保護との関係性をどのように構築するかが、まず議論されるべき問題のように思われます。

 とりわけ生活保護法4条でいうところの保護の補足性原則(「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる」) において求める「能力の活用」の意義について、従前の行政解釈どおりとするのか、あるいは全く新たな定義とするのかによって、実務対応と制度設計の在り方が大きく異なってくるように思われます(詳細については、加藤智章ほか「有斐閣アルマ社会保障法(第三版)」335頁以下(有斐閣,2007)参照。

 いずれにしても、国民および利用者がそれぞれ納得感を持ち、かつ真に役立つ制度設計と実務運用を目指す必要があることは、今も昔も変わらない永遠の課題です。
 

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