2009年2月19日木曜日

「管理監督者問題」再考

 思い起こせば昨年の今頃、「管理監督者」問題が火のついたようになり、いたるところで大きな関心を呼んでいました(※参考:その際、所属先で小冊子発行)。それから1年が過ぎ、今は9月の海水浴場(北海道ではお盆後の小樽マリンビーチ?)のように、閑散として「一夏の思い出」の如く、忘れられつつあるように感じておりました(控訴審判決が出れば、また火がつくとは思いますが)。

 しかしながら、労基署の一部担当者においては「一夏の思い出」に終わっていないようです。最近、散見される指導事案を見るに、担当官が日本マクドナルド事件東京地裁平20.1.28判決を金科玉条の如く扱い、これに反するものは全て過去にさかのぼって残業代を支払えと「口頭ベース」で指導を行う動きがみられます。例えば、年収700万以上の課長職で、かつ相応の労務管理上の権限・責任を有する者に対しても、同判決を持ちだし、「企業全体の事業経営に関する重要事項に関与していない」ことを理由に、管理監督者性の再考を求める例などがあります。

 日本マクドナルド事件地裁判決については、別のところで判例評釈を書く機会を頂きましたので、詳細はそちらに譲るとして、先の指導については少なくとも以下3点を申し上げるべきではないかと考えています。

1 日本マクドナルド事件判決は地裁判決に過ぎないうえ、控訴中であり確定をみていないものであること
2 同事件は行政通達がいみじくも指摘するとおり、多店舗展開する小売等業店長の管理監督者性に関する下級審裁判例であり、同判決を前提としても、異業種ライン管理職、スタッフ管理職にそのままあてはまるか否か異論があること
3 同判決はスタッフ管理職において用いるとされてきた「企業全体の事業経営に関する重要事項への関与」をライン管理職の判断に持ち込んだ点に異論があること(※この判断を前提とすれば、いかに課レベルで採用・配置・人事考課等の権限を有するライン管理職も、企業全体の事業経営の重要事項への関与がなければ、すべからく「管理監督者性」が否定されることになる!)

 昨年、発出された通達の限りにおいて、行政指導を展開することは行政官として当然の責務だと思います。しかし、それを離れて一下級審判決(未確定)をもちだし、しかも口頭ベースで指導を展開する動きについては、個人的に強い違和感を覚えるものです。

  「一夏の思い出」はアルバムにしまい、堅実な仕事をしていただきたい次第です。

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