2014年5月17日土曜日

映画「そこのみにて光輝く」の感想めいたもの

 新宿テアトルで呉美保監督「そこのみにて光輝く」(こちら)を鑑賞。

 函館は映画の街です。函館山、五稜郭はもちろん市内の石畳と洋館や路面電車、何よりも海と坂道が素晴らしく、昔から多くの映画の舞台になっています。例えば、森田芳光監督の「キッチン」では函館の夜景が印象的に描かれており、感激しました。

 その函館の地で生まれ育った作家、故佐藤泰志氏の長編小説を映画化し、全編同地でロケしたのが本作に他なりません。佐藤泰志氏が描く函館はロマンチックなものではなく、産業が衰退し、疲弊しつつある街です。
 本作でも、舞台となる函館は概ね荒涼としています。主人公たちが住む海近くのバラック小屋、アパートは寒々としており、各々の孤独感を感じさせます。

 ただ時折、函館の街の美しさが垣間見せることがあります。短い夏の海、函館山、そして早朝・夕方の朝日。厳しい現実に打ちのめされる主人公達を函館が優しく包み込んでいます。これが本作の大きな救いになっているように感じました。

 主演の3人、綾野剛、池脇千鶴、そして菅田将暉は素晴らしかったです。特に菅田君。どこかで見た顔かなぁと思っていたら、仮面ライダーWの主演(フィリップ)だったのですね。彼が本当に名演でした。今後大いに期待できる役者さんです。

 本作を見て、無性に函館の街を訪れたくなりました。旧友のトルコ料理屋さんにぶらり寄ったりしながら、ゆっくりと函館の街を散策したいものです。

 2年前に旅した時に撮影した函館山ロープウェイと沈み行く夕陽の写真を。

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