2011年2月4日金曜日

未払賃金立替払い制度の詐欺事件について

 先日、未払い賃金制度の詐欺事件が大きく報じられていました(読売新聞報はこちら)。

 会社の事業実態がなく、雇用する従業員、未払い賃金債権などあろうはずがないにもかかわらず、破産手続きを取った上で未払い賃金立替払い制度を詐取したとの事です。

 当然に許されるものではありませんが、そもそも国がそんな「古典的な」詐欺に何故引っかかるのか疑問に感じるところです。先の報道では、その疑問に対し、以下のように報じています。

同制度では、破産管財人などが作る未払い賃金の証明書や賃金台帳、元従業員の申請書などをもとに同機構が審査するが、担当職員は8人。1日の処理件数は数十件に上るといい、職員は「書類上不備がなければ通さないと、とても処理しきれない」と話している。

 
 未払賃金立替払いの処理を行う独法自体の審査が甘いかのように読めなくもない記事ですが、ここでの問題はむしろ「破産管財人」または「労基署」の破産・事実上の倒産・未払い賃金の認定にあります。今回の事件は法律上の破産手続きを取り、破産管財人の選任を受けた事案のようですが、同管財人が何故、「事業実態」を認めたのか、また従業員とその未払い賃金を確認したのか、その点こそが大きな問題であると思います。おそらくは同事案の破産手続き処理が形式的な「書面」審査で通ってしまったという事でしょうが、労基署での処理も含めて、再発防止対策がどのように講じられるかに注目するところです。

 ところで現政権の「事業仕分け」やらで未払い賃金立替払い制度の存亡が危ぶまれておりましたが、その後どうなったのでしょうか。この事件が変に使われないか、その点を少し懸念していますが、制度の必要性自体は異論ないところと思います(労使関係者間では)。

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