2010年11月16日火曜日

宅直勤務の労働時間性否定(県立奈良病院事件高裁判決)

 県立奈良病院事件の大阪高裁判決が出されたようです(こちら)。 以下産経新聞HPより

病院の当直勤務は割増賃金が支払われる「時間外労働」に当たる、として、県立奈良病院の産科医2人が県に相当額の支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は16日、計約1500万円の支払いを命じた一審奈良地裁判決と同様に「当直は労働時間」と認定。双方の控訴を棄却した。

 産科医側の弁護士は「高裁では初めての判断。同様の問題は全国にあり、影響は大きい。労働環境の是正には医師を増やすしかなく、国レベルでの対応が必要だ」と話している。

 判決理由で紙浦健二裁判長は、分娩の6割以上が当直時間帯だったことや、通常勤務と合わせて連続56時間勤務になることもあった過酷な労働実態に触れ「入院患者の正常分娩や手術を含む異常分娩への対処など、当直医に要請されるのは通常業務そのもので、労働基準法上の労働時間と言うべきだ」と指摘。

 また、当直医は勤務を途中で離れられないことから「(実働時間以外も含む)当直勤務全体について割増賃金を支払う義務がある」とした。

 呼び出しに備えて自宅などで待機する「宅直勤務」については、一審に続き労働時間と認めなかったが、紙浦裁判長は「負担が過重になっている疑いもある」と言及し、県知事らに実情調査と体制の見直しを促した。

 判決によると、奈良病院の産婦人科では2004~05年、医師5人のうち1人が交代で夜間や休日の当直勤務を担当。産科医2人は2年間で各約210回、当直勤務に就いた。分娩に立ち会うことも多く、十
分な睡眠時間が取りづらかったが、一回につき2万円の手当が支給されるだけで、時間外労働の割増賃金は支払われていなかった。

 研究会で同地裁判決を議論した際、最も白熱したのが宅直勤務の「労働時間性」でした。この点について1審判決がは必ずしも説得的な理由付けを示していないように感じておりますので、高裁がどのような論旨で、労働時間性を否定したのかが気になります。

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