2010年8月2日月曜日

事業場外みなしの典型的否定例?~某省大臣答弁から~

厚生労働大臣の記者会見(厚労省HP)を眺めておりましたら、以下のような興味深いご答弁がありました。

(記者)
 それに関連してですが、厚生労働省は以前から残業が非常に多い役所として有名だったのですが、新しい体制になって更に残業が増えたというデータが組合の調査で分かったのですが、これまで残業を減らすような努力を政務三役でされていたのか、もしもそうでなければこれからそういうことを考えて行くことがあるのか教えてください。

(大臣)
 そのアンケートを私も詳細には拝見しておりませんが、労働組合がやって厚生系は横ばい、労働系は残業時間が増えているという結果が出たということです。昨日も幹部と話をいたしましたが、労働系は新たな雇用施策を矢継ぎ早に打ち出しているのでその影響もあるのではないかということです。いずれにいたしましても、残業時間というのは多いと私も思っておりまして、我々も担当部局に改善を指示をして取り組んでいるところです。一番業務として指摘をされるのが、国会待機の問題があります。それについてはいちいち待機をしないでも、メールで連絡が常に取れる体制であればいいとか、いろいろ各部局で帰りの施錠時間を少しでも短縮しましょうということで、その目標を朝礼でも各部局から出していただいてどうすればいいのかという議論もしているところです(以下後述)。


 各部局で施錠がされた後、「メールで連絡が常に取れる体制」で、案件によっては即戻り執務に就くという状態は、労働法上、どのように評価されるのかは大変、気になるところではあります(今回問題となっている国家公務員(非現業)に労基法が適用されませんので、労基法の労働時間規制を論じる実益は実のところないのですが、国家公務員法上はどのように評価されうるのかも興味深い問題です)。濱口先生が懸案されていた事業場外みなし労働対象者に対する「携帯所持」も、まさにこのような状況での運用を指摘されていたのではないかと感じた次第です。

 なお大臣の以下の答弁続きは、全く正論だと感じました。この正論をいかにして実現していくかが、かねてから問われている訳ですが・・・。
必要のない業務、そして、無駄な事業をなくして行くことが重要でして、ある意味では省内事業仕分けを通じても無駄な事業をなくすことは職員の負荷も軽くなりますし、税金もそこで助かります。また、不必要な天下り団体があることで、そこで流れる金もありますし業務も付随して参りますので、それについて厳しくメスを入れて行くことで適正な業務量にして行きたいと思います。その一方で、部局間のばらつきも感じておりまして、法案を抱えている部局はその時期集中して忙しくなります。当初私も感じましたのは、縦割りでなかなか人がスムーズにそこに集中して、ある意味で助っ人として支援が回らないということもありました。それは我々も改善をすべく法案が集中する部局には、出来る限り人が回るような形をこれまでも実践して来ておりますので、そういうことを通じて少しでも改善する必要があります。
 もう一つは人材が不足している部分もありますので、社内の研修制度も充実して的確に業務が出来るような体制、今は部局の基礎知識がなく人事異動で放りこまれて、オン・ザ・ジョブ・トレーニングと言えば体裁はいいのですが、なかなかそこで業務がスムーズに行かないということもありまして、圧倒的に厚生労働省は研修が不足しておりますので、そういうことを含めて役所文化を変えることは、国民の皆様にとっても税金の無駄遣いがなくなるということでしょうし、職員の皆様にとっても不必要な業務がなくなるということですので、それについてはきちんと説明をしながら取り組んで行きたいと思います。

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