2009年3月1日日曜日

ダラダラ残業について考える①

 最近、ダラダラ残業についての勉強を続けています。その中でつらつら考えていることを書き連ねてみたいと思います。
 
 昨年RIETI主催シンポジウムで阪大の大竹文雄先生のご講演を拝聴した際、ワーカーホリックに陥りやすいキャラクターを、小学校夏休みの宿題をどのようにこなしていたかという視点から分析するというお話を伺い、その発想のユニークさに驚嘆したことがあります。その発表では、宿題の後回し行動と男性のワーカーホリックに一定の相関関係があること、この結果を前提とすれば、残業に対する割増賃金増額の効果は乏しく、むしろ「つい残業をするということができないようなコミットメントメカニズムをつくることが必要である」と結論づけておられました。そのための「定時に仕事を強制的に終わらせるメカニズム」として、具体的には、職場に残ることを不可能とする、強制的に休みを取らせることとする等を挙げておられます(詳細については上記シンポジウム配布資料)。

 畑違いの私には正直よく分かりませんが、その結論は一定の共感を覚えました。もちろん使用者側が過重・過大な業務を命じ、それが原因で長時間労働に陥らざるを得ないケースが多いことも否定しません。しかしながら、周りを見渡すと、さほど過重・過大な業務が命じられていないにもかかわらず、長時間労働の状態にある男性中高年社員が散見されることも否定できないところではないでしょうか。私もよく企業の人事担当者から、ご相談を頂くのが、「何故か帰らない社員の長時間在社」の問題です。

 大竹先生が言うところの「定時に仕事を強制的に終わらせるメカニズム」をどのように構築していくのかは、労働経済学者の仕事というより、むしろ企業人事労務の実務家である担当者、社労士がまさに考えるべき課題ではないかと感じております。現場の知恵を活かし、問題解決に取り組むべき課題です。

 

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