ここ数年、切に感じることが多いのが、管理職向け労働法研修の重要性です。労働判例を見ていても、前回のブログで紹介した国・静岡労基署長(日研化学)事件東京地裁判決を例に挙げるまでもなく、上司の管理職業務の拙さが、即会社の法的責任に繋がる傾向が見られます。これは一私見に過ぎませんが、管理能力が低い上司はその反面、プレイヤーとしては秀逸した実績を挙げており、企業から見ると「プラスマイナス0か+」との算盤勘定が成り立っていた側面があるように感じています。
このように従前までは、管理業務の拙さも管理職それぞれの「個性」と許容してきた向きもあったと思われますが、先の法的リスクが増大していく中、企業としてもその拙さを放置できないと感じているところではないでしょうか。
では、どのような取組を行うべきか。これについては決定打はなく、地道に管理職登用とその研修、そしてホットライン等による対応を講じていく他ないところと思われます。そこで重要であるのが、予防策としての管理職向け研修です。
この管理職向け研修には二つの方向性があるように感じております。第一は心理学・精神医学等の面からアプローチするパワハラ防止のための研修です。私も何度か拝聴する機会がありましたが、色々な示唆が得られる研修でした。一言でいえば、相対する部下等の心に対する「気づき」を与えてくれるものです。
第2は法的側面からアプローチするパワハラ防止のための研修です。こちらはパワハラ等による精神疾患が生じた場合、どのような法的問題が加害者・法人に対して生じるのか、そして実際の裁判例の分析を通じて、法的責任の範囲やその防止策を深く理解させるセミナーです。こちらの研修は一言でいえば、管理職にパワハラに伴う「リスク」を理解してもらう上で意義のある研修です。
管理職向けパワハラ防止研修は、この二つを両輪のようにして行っていくことが重要と思われるところです。我田引水ながら、第2の法的側面からのパワハラ防止研修はわたしめも多少の心得はございます(笑)。
0 件のコメント:
コメントを投稿