「何故、ダラダラ残業が生じるのか?」雑感
ダラダラ残業は当然のことながら、法律用語ではありません。さしあたり定義をするとすれば、「労務提供の量・質が低い状態で、所定乃至法定時間を越えて在社し続けている状態」になると考えています。
このようなダラダラ残業はおそらく、昔に比べれば激減したとはいえ、多くの職場において今なお見受けられるところではないでしょうか。では、このようなダラダラ残業は何故、あるのでしょうか。
従業員が残業代ほしさでこのようなことをやっていると指摘する向きがありますが、従来はこれら在社に対して、残業代を請求する社員は稀でした(もちろん退職後に請求する例あり)。
先日、紹介した大竹論文ではワーカーホリックになりやすい社員の特性に着目して、「後回し行動」傾向のある者が長時間労働に陥りやすいと指摘します。もちろん、そのような面もありますが、それだけともいえない気がいたします。
何よりも職場、上司が所定時間後の在社にどのような評価を行っているのか、その点も大きな要因と思われるところです。例えば上司等が夜10時ぐらいに部下(もちろん午前9時出社のケース)が机でかりかり「何か」をしている姿を見て、どのようなに感じ、それをどのように表現しているのか。仮に「よしよし、よく頑張っている」と評価し、それが賞与等に反映されるのであれば、残業代が出ようが出まいが夜遅くまで在社すること自体が従業員の経済合理性にかなうことになります。
このように考えると、最後は人事考課の問題に行きつくのかもしれません。人事考課制度は情意評価から成果評価へとシフトチェンジが進んできましたが、成果主義賃金制度に移行後も、なお情意評価の部分は残されてるケースが多いと思われます。その中で長時間在社をどのように評価していくべきか。ここがダラダラ残業問題を考える上で、実務的に大きなポイントになる気がしています。
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