年末年始の「派遣村」報道。日比谷公園からの映像をみて、「漠然とした不安」を感じていました。ここ数日、つらつらその不安の正体を考えるうちに、同映像から日本の家族、民間の雇用創出などの機能低下を感じていたことに思い至った次第。
翻って考えてみると、我が国では、社会福祉分野を中心に公的支援はどちらかといえばサブとして機能し、家族・民間企業に様々な福祉的機能を担わせてきたといえます(野村正實「雇用不安」138p他(岩波新書)ほか多数)。職業安定行政も同じく民間雇用創出・確保に寄りそう形で展開されてきたものと考えます。
これが先んじて一転したのが、バブル崩壊後の若年者失業問題でした。長期失業下において、高等学校が果たしてきた職業紹介機能が低下し、いわゆるフリーター問題と離職率の高さが指摘されるようになります。そこで政府が展開したのが、ヤングジョブカフェを中心とした一連の若年者就労支援施策です。政府が積極的に職業訓練から職業紹介、試用的雇用など若年失業者に寄りそう形で就労支援施策が展開されたのは、ある意味、画期的であったと思います。しかしながら、その具体的な支援内容と課題は十分に共有されていません。
今後、若年失業者のみならず、日本の雇用において、公的就労支援施策が果たすべき役割は格段に高まらざるを得ないのではないでしょうか。とすれば、若年者就労支援施策の検証を通じて、改めて公的就労支援施策の課題と将来の可能性を見極める必要が高いと考えるものです。
北大大学院の先輩にあたる弘前大の紺屋准教授は、労働法からのアプローチが難しい就労支援施策の問題について、学生とのフィールドワークなども交えながら、積極的に研究してこられました。2月6日、現在の所属先のセミナーで、紺屋先生に若年者就労支援施策の現状と課題についてご講演を頂きます。会員以外の方も無料でご利用いただけることとしましたので、ご関心ある方は同HPまで。
2 件のコメント:
はじめまして。
ビジネスガイド2月号にて北岡さんの存在を知りまして、ブログにアクセスした次弟です。
今後日本の雇用において、公的就労支援施策が果たすべき役割は格段に高まらざるを得ないという意見には同感です。
行政側がより一層踏み込んで、求職者や労働の現場の現状を調査・分析をし、求職者のキャリア形成につながり、企業も安定した人材を確保できるような施策を行なってほしいですし、望みたいものですね。
ys4526さん、北岡です。コメントありがとうございました。私も職安行政の奮闘に期待するものです。とはいえ、雇用の問題は行政のみでの対応も難しいのは事実です。公的支援とともに、職場、地域社会、家庭等が雇用調整の痛みを分かち合わないことには、非常に厳しい事態が生じるのではないかと懸念を感じております。
今後ともよろしくお願いいたします。
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