2009年1月24日土曜日

「労働組合法」復権の予感

 中学・高校時分に労働三法なるものを暗記させられました。労働基準法、(       )、労働関係調整法とくれば、反射的に(労働組合法)と書いたものです(笑)。それから何十年かたち、人事労務の仕事をしていますが、実務において労働組合法の条文・裁判例等を用いる機会は、それほど多くありませんでした。

 これが少しずつ、風向きが変わりつつあるように思われます。最近、在社・退職社員が地域労働組合に個人加盟を行い、団体交渉がなされる案件が多くの企業で聞かれるようになりました。昨日も派遣社員が地域労組に加盟し、団交・ストライキ等を行ったケースが報じられています。企業内労働組合と企業との関係も、蜜月時代を過ぎ、以前に比べると一定程度、緊張関係にある企業も多くなってきているのではないでしょうか。

 このように労働組合と企業との関係が緊張してくると、重要となるのが、その関係を規律するルールとなります。たとえば、地域労組が団交を求めてきた場合、これに応じなければならないのか。先のニュースで報じられたように、派遣社員が会社入口で「ストライキ」と称し、他の社員に呼び掛けを行うことが許されるのか。あるいは更に会社入口をストライキ社員がスクラムを組み、封鎖するようなことが許されるのか等々。

 これらの問題にこたえるのが、労働組合法に他なりません。ここ数十年、労使関係が良好であった企業であればある程、改めて人事労務担当者、労組担当者が労働組合法を見直す要があるのやもしれません。

 実は実務のみならず、大学・大学院においても、ここ最近は個別労使紛争関係に対応した労働法が主流であり、労働組合法等の集団法にあてられる時間はさほど多くないようです。その点、私の場合は恵まれていました。金沢の学部時代には、前田達男教授から「労働組合法」講義を4単位(週2コマ)履修していました。前田先生が毎回、片岡先生の教科書とレジメ資料を利用しながら、労働組合法を初めから終わりまで丹念に講義されていたことが思い出されます。また大学院では、道幸哲也先生の下で、労組法関係の労委命令・裁判例・文献研究のみならず、地労委実務をことあるごと指導いただきました。今頃になり、その学恩の大きさに感謝の念を強くする次第。
 今後は大学・大学院においても、労働組合法の教育・研究が再び盛んになるやもしれません。私ももう一度、西谷敏先生「労働組合法」を読み返さねばならぬと思う今日この頃です。

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