会社は深夜シフトのパート社員の方に対して、深夜業務の特定健康診断を年2回、行うべきであるのか。実はこの問題はなかなかやっかいで、パート社員の雇用割合が多い企業のご担当者様から、よくご質問を頂くことがあります。
たしかに労働安全衛生法(法66条 則45条)をみると、事業者は「深夜業を含む業務」に「常時使用する労働者」に対して、年2回、特定健康診断の実施が罰則付きで義務付けられています(法120条 罰金50万円)。問題はいわゆるパート社員がこの対象に含まれるか否かです。
「常時使用する労働者」について、厚労省はかねてから以下の判断基準を示してきました。
次のイ.ロ.のいずれの要件も満たす者
イ 期間の定めのない契約により使用されるものであること。
なお、期間の定めのある契約により使用される者の場合は、更新により1年以上使用されることが予定されている者、及び更新により1年以上使用されている者。----(特定業務従事者健診の場合、1年以上を6か月以上と読み替えます。)
ロ その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。(「2分の1以上である者に対しても実施することが望ましい」とされています。)
ここで実務運用上、気をつけておきたいことは、特定健康診断の対象となる深夜シフトのパート社員は、通常時間帯のパート社員に比べて、健診対象になりやすいという点です。つまり通常の定期健診はイにあるとおり、有期契約の場合は、「1年」以上使用される予定または実際に「1年」以上使用されている社員が対象となりますが、深夜特殊健診については「6か月使用見込み」ないし「6か月使用実績」があれば対象になるものです。なかなか運用上、やっかいなところではありますが、留意しておきたいところです。
またロにあるとおり、正社員の所定労働時間が週40時間であれば、週30時間以上勤務するパート社員が定期健診および深夜特殊健診の対象になるものです。反対に言えば、これより短い勤務のパート社員については、健診を受診させる義務が生じないこととなります。
その他、細かい問題として、月に1~2回しか深夜シフトに入らないパート社員等にも深夜業務の特殊健診を行う義務が生じるのか否かということがあります。これについては、今のところ明確な解釈通達等が示されていないようですが、「深夜業務従事者の自発的健診」受診支援助成金の取扱が参考になります。これによれば、6か月を平均して月4回以上の深夜業務従事者を対象としていることから、少なくともこの基準以上、つまり6か月平均で月4回以上の深夜シフトに入る予定か否かで判別されるべきものと思われるものです(同様のご見解を示されるものとして、竹林社会保険労務士事務所HP 労働問題Q&A)。
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