「ゲバラがキューバ革命後、ボリビアに反政府活動のため潜り込むものの、失敗に終わり処刑される」という公知の事実が映画化された作品です。誰が見ても、あまり見たくない「暗い作品」になりそうですが、さすがはS.ソダーバーグ監督。この方の力量は並々ならぬものがあります。
たしかにボリビアの山林の中、内部分裂する反政府活動、士気が次第に低下する兵士、これに対して質量ともに充実の一途を辿る政府軍からの激しい攻撃が続く中、喘息発作に苦しむ主人公の姿は、なかなかに痛々しいものがあります。
しかしながら、それを上回る印象を与えるのが、ボリビアの空、緑、川などの風景です。とくにゲバラ最後の地になった高台の貧しい村の風景が大変、印象的でした。またS.ソダーバーグの画面構成・展開も大変さえています。
この映画を見ていると、「アラビアのロレンス」(D.リーン監督)が思い出されました。どちらも一市民から英雄に、そして悲劇の結末を辿るところに相似性がありますが、本作のゲバラには、「アラビアのロレンス」の後半に見られる退廃感が遂に訪れることがなかった。その点こそが本作にある種の「明るさ」を出しているのか等と思う次第。
最後にパンフレットを見た妻曰く「ベニチオ・デル・トロ(本作主演)より、本物の方が男前」(それは言わない約束でせう・・・)。
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