伊、解雇規制を緩和=構造改革と成長両立へ―労働市場法成立
時事通信 6月28日(木)6時27分配信
【ジュネーブ時事】イタリアのモンティ政権が構造改革による成長戦略の柱と位置付ける労働市場改革法が27日、下院で賛成393、反対74で可決、成立した。上院では5月末に承認済み。企業の解雇が事実上できない現行法を改め、労働市場の活性化と投資促進を狙う。
欧州連合(EU)首脳会議の直前に懸案の改革が一歩前進したことで、モンティ首相の面目が保たれた形。ただ、法案審議で骨抜きにされた部分も多く、首相の求心力低下が懸念されている。
焦点は業績悪化を理由とした正社員の解雇を認めない「労働憲章法18条」の改正。企業は事実上、倒産しない限り解雇ができず、企業競争力低下や国外からの投資の阻害要因とされ、産業界が撤廃を訴えていた。
上記記事だけを見ると、イタリアは整理解雇含めて「解雇事由規制の緩和に乗り出した」と読めなくもありません。
この点について、以前から正確な情報を発信されておられるのが、神戸大学の大内伸哉教授です。愛読している先生のブログ(アモーレと労働法)において、すでにイタリア労働法改正動向が紹介されています。
ミラノ到着(こちら)
ゼロは複数?(こちら)
再び労働者憲章法18条(こちら)
第71会神戸労働法研究会(こちら)
今回改正された労働者憲章法18条は、「解雇事由規制」そのものではなく(別に規定あり)、違法な解雇に対する救済(原職復帰)が定められた条文であること。また同条は広範囲な中小事業主に係る適用除外規定が設けられており、大半のイタリアにおける雇い主には適用がなかった点などが紹介されており、大変勉強になります。
日本の労働法制についても、なかなか諸外国(そして国内でも?)で正確に理解されていない点があるようにも思われます。イタリアの法改正報道等を通じて、改めて海外労働法制の理解の難しさを感じた次第。
【追記】法学教室6月号に大内先生が「法律家の使命?ー最近のイタリアにおける解雇法制改革の報道をめぐって」を寄稿されておられるとのこと(ブログ記事はこちら)。ぜひ拝読したいと思います。
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