昨日は標記研究会に出席しました。同研究会は専修大の小宮文人教授、國學院大の本久洋一教授が主宰されており、最新労働判例研究を目的とするものです。今回は本久教授が神戸刑務所事件(神戸地判平成24.1.18労旬1766-65)、戸谷准教授がケーメックス事件(東京地判平成23.8.31 労判1038-68)をご報告。
神戸刑務所事件は、国による偽装請負と団体交渉拒否に対する損害賠償請求が争われた事案です。偽装請負は認定された一方、損害賠償請求は否定。その一方、労働組合の団交権侵害に対する損害賠償請求は認容されています。
ケーメックス事件は、賞与請求権と労働組合との団交不調が問題となった事案です。同社は以前から賞与決定を一方的に行っていたところ(従業員への賞与額通知・同意済)、新たに結成された多数労働組合との確認書取り交わし不調を理由に、賞与不支給とした事の可否、および誠実団交義務違反等に対する損害賠償請求が問題となっています。判決では前者について賞与支払いを命じる一方、後者の請求を否定しました。
中小零細企業などで、外部労組支援の下、新たに労働組合が結成された後、同種労使紛争は生じる可能性があるようにも思われ、実務的にも興味深い事案です。
いずれも大変勉強になりました。個人的には偽装請負状況下における発注者(派遣先)の法的責任を整理できた点が有意義でした。改正派遣法の施行によって、さらに同種法的紛争が多発する可能性を感じます。予防策含め、検討を進めておきたい問題です。
0 件のコメント:
コメントを投稿