2012年6月28日木曜日

政治休職制度と解雇(今朝のニュースから)

社会保障と税の一体改革関連法案が衆院通過しました(パート社保適用拡大法案も含む)が、国会はしばらく空転する可能性が高いとのこと。空転期間中も国会関連の人件費その他コストがかかっており、その額は本当に馬鹿になりません。「花いちもんめ」をお楽しみ中の先生方につきましては、「ノーワーク・ノーペイ」の原則に立ち戻り、「国会議員」としての歳費を無給にできないものでしょうかね(※なお現行法(こちら)では、国会議員である限り歳費が支給されることになっております、念のため)。顧問先様の製造工場における企業努力を見るにつけ、その思いを強める今日この頃。

 ところで今朝のasahi.comに次の記事が掲載されていました(こちら)。

「サラリーマン議員「クビは不当」 元勤務先パソナを提訴」

 「サラリーマン議員」として会社の休職制度を利用しながら議員活動を続けていた東京都の浜田浩樹・渋谷区議(34)が、2期目に入ったところで解雇されたのは不当だとして、人材派遣会社パソナ(東京都)に解雇の無効と200万円の慰謝料を求めて提訴した。27日に東京地裁で第1回口頭弁論があり、パソナ側は争う姿勢を示した。

 訴状によると、浜田区議は2001年にパソナに入社。07年4月に初当選し、政治活動のために休職できる制度を使い、パソナからの給料は受け取らずに議員を務めていた。だが11年4月、2期目に当選すると、会社から「休暇制度は最長4年間」として退職を促され、断ると同年12月に解雇を通告された。

 浜田区議は「休職に期限があるとは事前に聞いていなかった。延長が無理なら復職して議員活動と両立すると伝えたが、断られた」と話している。一方、パソナ広報室は「外部での経験を会社に持ち帰り、生かしてもらうための制度。1998年の開始時から『原則として最長4年間』と決まっていた」としている。(高野遼)

 政治休職制度も「休職制度」つまりは労働義務を一定期間免除する制度であることから、通常は「期間」が定まっているものと思われます(なお同社の広報案内はこちら)。 同社の就業規則に休職制度とその「期間(4年)」が規定されており、かつイントラネット等で「周知」がされていた場合は、法的に有効といえそうです(労働契約法7条)。とすれば、同区議は2011年4月には休職期間が満了しているため、就労義務が生じることになります。

 記事によれば、区議は「延長が無理なら議員活動と両立する旨申し出たが断られた」と主張されているようですが、そもそも区議と従業員の両立が一般に可能でしょうか。区議会が平日夜・土日祝日開会であればとも思いましたが、残念ながら渋谷区議会はそのような運営ではないようです(こちら)。年休取得による対応もこの会期日程では難しそうですね。そのような中、区議会を理由に出社していないとすれば、会社として普通解雇が可能か否か。
 
 法的には以上の点が争点になろうかと思いますが、人事労務上の観点からは、労使双方ともにコミュニケーションが足りない感を受けます。お互い事前に休職・復職あるいは再出馬等に関する連絡を取り合っていれば、このような紛争は通常、未然防止できるでしょうね(コミュニケーションを取れない別の深刻な原因がある場合もありますが・・・)。
 いずれにしましても判決が示された場合は、改めて検討してみたい事案です。

 

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