2009年2月9日月曜日
操業短縮に伴い労働日数等変更を会社側が一方的に行うことの可否
月刊総務主催のHPで、先ほど大変難しい問題への回答をUPいたしました。将来の不確定要素を労働契約に包括的に織り込むことができるか否か。同回答では、どちらかといえば否定的な見解をお示ししましたが、難しい問題です。とはいえ、労使のパワーバランスを思えば、やはり労働日数・時間は特定化するべきであり、包括的な定めは望ましくないとの見解を取りたいと考えるものです。
2009年2月8日日曜日
(映画)「チェ39歳別れの手紙」
「ゲバラがキューバ革命後、ボリビアに反政府活動のため潜り込むものの、失敗に終わり処刑される」という公知の事実が映画化された作品です。誰が見ても、あまり見たくない「暗い作品」になりそうですが、さすがはS.ソダーバーグ監督。この方の力量は並々ならぬものがあります。
たしかにボリビアの山林の中、内部分裂する反政府活動、士気が次第に低下する兵士、これに対して質量ともに充実の一途を辿る政府軍からの激しい攻撃が続く中、喘息発作に苦しむ主人公の姿は、なかなかに痛々しいものがあります。
しかしながら、それを上回る印象を与えるのが、ボリビアの空、緑、川などの風景です。とくにゲバラ最後の地になった高台の貧しい村の風景が大変、印象的でした。またS.ソダーバーグの画面構成・展開も大変さえています。
この映画を見ていると、「アラビアのロレンス」(D.リーン監督)が思い出されました。どちらも一市民から英雄に、そして悲劇の結末を辿るところに相似性がありますが、本作のゲバラには、「アラビアのロレンス」の後半に見られる退廃感が遂に訪れることがなかった。その点こそが本作にある種の「明るさ」を出しているのか等と思う次第。
最後にパンフレットを見た妻曰く「ベニチオ・デル・トロ(本作主演)より、本物の方が男前」(それは言わない約束でせう・・・)。
たしかにボリビアの山林の中、内部分裂する反政府活動、士気が次第に低下する兵士、これに対して質量ともに充実の一途を辿る政府軍からの激しい攻撃が続く中、喘息発作に苦しむ主人公の姿は、なかなかに痛々しいものがあります。
しかしながら、それを上回る印象を与えるのが、ボリビアの空、緑、川などの風景です。とくにゲバラ最後の地になった高台の貧しい村の風景が大変、印象的でした。またS.ソダーバーグの画面構成・展開も大変さえています。
この映画を見ていると、「アラビアのロレンス」(D.リーン監督)が思い出されました。どちらも一市民から英雄に、そして悲劇の結末を辿るところに相似性がありますが、本作のゲバラには、「アラビアのロレンス」の後半に見られる退廃感が遂に訪れることがなかった。その点こそが本作にある種の「明るさ」を出しているのか等と思う次第。
最後にパンフレットを見た妻曰く「ベニチオ・デル・トロ(本作主演)より、本物の方が男前」(それは言わない約束でせう・・・)。
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2009年2月7日土曜日
歯医者と労務コンサルティング
今朝、歯医者の定期診断を受けました。1年ぶりだそうで、念入りなチェックを受け、やはりというべきかしばらくの通院を命じられました。日々の不摂生を考えれば、虫歯の宣告を受けなかっただけ御の字という他、ありません。
歯垢とりの苦しみの中(歯茎が弱いものには結構苦痛なのです)、歯医者の診断と労務コンサルティングとの相似性に気がつかされました。歯医者は、初め本人から自覚症状をたずね、その上で歯・歯茎の状況を観察し、器具で「怪しい箇所」に触れていきながら診断・治療をおこなっていきます。わたしなぞのたちの悪い患者は、自覚症状をもぞもぞ不明瞭に応えてしまいますが、歯医者はさすがにプロ。状況観察等でたちどころに、問題個所を見出し、器具で触れることにより、患者にその疾病を「自覚」させるものです(笑)。その手腕の鮮やかさ(あこぎさ?)に、いつもほれぼれいたします。
腕のよい労務コンサルティングも同じようなところがある気がしております。クライアント先の労務管理状況をまずはヒアリングの上、組織図・規定例・勤怠データ等を観察し、そこから「危険部位」を見出し深堀をしていく作業がやはり重要であるように思います。違う点があるとすれば、そこからの治療が、労務コンサルティングの方が更に複雑で、かつ多様なものになるということでしょうか。クライアントニーズとコンプライアンスをうまくフィットさせるための知恵は、なかなかに奥深いものがあると日々思う次第。
歯垢とりの苦しみの中(歯茎が弱いものには結構苦痛なのです)、歯医者の診断と労務コンサルティングとの相似性に気がつかされました。歯医者は、初め本人から自覚症状をたずね、その上で歯・歯茎の状況を観察し、器具で「怪しい箇所」に触れていきながら診断・治療をおこなっていきます。わたしなぞのたちの悪い患者は、自覚症状をもぞもぞ不明瞭に応えてしまいますが、歯医者はさすがにプロ。状況観察等でたちどころに、問題個所を見出し、器具で触れることにより、患者にその疾病を「自覚」させるものです(笑)。その手腕の鮮やかさ(あこぎさ?)に、いつもほれぼれいたします。
腕のよい労務コンサルティングも同じようなところがある気がしております。クライアント先の労務管理状況をまずはヒアリングの上、組織図・規定例・勤怠データ等を観察し、そこから「危険部位」を見出し深堀をしていく作業がやはり重要であるように思います。違う点があるとすれば、そこからの治療が、労務コンサルティングの方が更に複雑で、かつ多様なものになるということでしょうか。クライアントニーズとコンプライアンスをうまくフィットさせるための知恵は、なかなかに奥深いものがあると日々思う次第。
2009年2月6日金曜日
副業と労働時間の通算
受注減に伴い、製造業を中心に操業時間短縮・一時帰休が広がっています。その流れの中で副業を認める動きが出ているようです(47news)。
仮にある日、4時間の操業短縮がなされ、A社での実労が4時間であったとします。同日、副業として、B社で5時間のアルバイトを行った場合、当日の労働時間および割増賃金をどのように考えるべきでしょうか。
労働基準法によれば、同日の労働時間はA社4時間とB社5時間の総和である9時間とされ、同日1時間の時間外労働が生じる扱いとなります。したがって1時間の時間外割増賃金支払い義務が生じることになるものです(労基法38条)。それでは、A社・B社どちらに時間外労働が生じたこととなり、かつ割増賃金支払い義務が有することになるのでしょうか。これは同人がA社・B社どちらで先に働いていたかに左右されます。例えばA社勤務後、B社で就労した場合、B社に同責任が生じることになるものです(B社勤務後、A社であればその反対)。
ここまでは労基法のおさらいですが、難問は同就労が1か月以上にわたり長期化した場合において、通算月間残業時間が80時間以上となっているケースです。仮に同ケースにおいて、過労死・自殺事案が生じた場合、副業先であるB社またはA社がどのような法的責任を負うことになるのでしょうか。とくに副業元・先がその事実を把握していない場合が問題です。大変な難問ですが、おそらくは労基署にしても裁判所にしても、まずは合算時間外労働時間数等を基に業務上外判断をすることになるのではないでしょうか。民事損害賠償の場合はA社・B社の責任割合が問題となりますが、一つの試論としては、損害発生への寄与度合などを考慮の上、責任按分を決することになると考えます(先例見当たらず)。
以上のとおり副業の方が職場で脳心臓疾患等で倒れ、労災認定申請がなされた段階のリスクを少しばかり整理してみました。今後、実務においては、次から次へと難しい問題が生じることが想定されるところです。
仮にある日、4時間の操業短縮がなされ、A社での実労が4時間であったとします。同日、副業として、B社で5時間のアルバイトを行った場合、当日の労働時間および割増賃金をどのように考えるべきでしょうか。
労働基準法によれば、同日の労働時間はA社4時間とB社5時間の総和である9時間とされ、同日1時間の時間外労働が生じる扱いとなります。したがって1時間の時間外割増賃金支払い義務が生じることになるものです(労基法38条)。それでは、A社・B社どちらに時間外労働が生じたこととなり、かつ割増賃金支払い義務が有することになるのでしょうか。これは同人がA社・B社どちらで先に働いていたかに左右されます。例えばA社勤務後、B社で就労した場合、B社に同責任が生じることになるものです(B社勤務後、A社であればその反対)。
ここまでは労基法のおさらいですが、難問は同就労が1か月以上にわたり長期化した場合において、通算月間残業時間が80時間以上となっているケースです。仮に同ケースにおいて、過労死・自殺事案が生じた場合、副業先であるB社またはA社がどのような法的責任を負うことになるのでしょうか。とくに副業元・先がその事実を把握していない場合が問題です。大変な難問ですが、おそらくは労基署にしても裁判所にしても、まずは合算時間外労働時間数等を基に業務上外判断をすることになるのではないでしょうか。民事損害賠償の場合はA社・B社の責任割合が問題となりますが、一つの試論としては、損害発生への寄与度合などを考慮の上、責任按分を決することになると考えます(先例見当たらず)。
以上のとおり副業の方が職場で脳心臓疾患等で倒れ、労災認定申請がなされた段階のリスクを少しばかり整理してみました。今後、実務においては、次から次へと難しい問題が生じることが想定されるところです。
2009年1月31日土曜日
(ドラマ)20世紀少年第一部
テレビドラマ版の「20世紀少年(第一部)」。いやぁ、本当に夢中になって見ました。浦沢さんの原作、キャスティング・演技(全てが適材適所!)、そして堤監督の構成力が見事としか言いようがありません。今日から公開される劇場版2部、多分見に行くことになるでしょう。
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映画
2009年1月29日木曜日
自己研鑽と労働時間
セミナーで話すこと、ご質問を頂くことは、書くこととは違った気づきを与えてくれます。先日のセミナーで「ダラダラ残業防止のための就業規則規定例とその運用」をお話させていただきましたが、改めて労働時間の難しさを痛感させられます。
例えば、社員が次のステップ(昇進等)のため、終業後に社内資料を閲覧したいと申し出られたとします。この場合、同閲覧時間は労働時間といえるのでしょうか。このようなご質問を頂き、非常に大きな気づきを頂いた次第。結論からいえば、社員が自らの自己研鑽を目的に、会社に残り資料を閲覧することは、「使用者側の明示ないし黙示の指示がなく、業務性も低い(ない)」ことから、労働時間には当たらないと考えます。
しかしながら、同自己研鑽が上司から強制されていたり、あるいは本人の本務ないし近いうちに予定されている業務と密接不可分の場合は話が変わってきます。黙示の指示、業務性ともに認められることから、場合によっては「労働時間」とみなされる余地も残されていますので、その点は注意が必要です。
2000年以前は、多くの企業・官公庁は自己研鑽目的の在社に寛容(もちろん残業代は払っていませんが)であり、社員側もこの問題を正面から争う例は皆無でした。しかしながら、最近では労基署の監督指導はもとより、脳・心臓疾患、精神障害の労災認定・民事損害賠償例などでも、在社=職場における過重負荷と見る傾向が高いといえます。残業代請求事案などを見ていても、近年の裁判例の中には、ラフに残業時間数を認定する例などが散見されるところです。
企業のリスク管理からいえば、自己研鑽目的であれ在社させないのが原則と考えるほかない情勢です。私も駆け出しの頃、終業時間後に、先輩方の作成資料等を見ながら、仕事を覚えた一人として腑に落ちませんが、いずれにせよ企業において、自己研鑽目的での在社を認めるのであれば、その記録を何らかの方法で残すことに留意すべきでしょう。
例えば、社員が次のステップ(昇進等)のため、終業後に社内資料を閲覧したいと申し出られたとします。この場合、同閲覧時間は労働時間といえるのでしょうか。このようなご質問を頂き、非常に大きな気づきを頂いた次第。結論からいえば、社員が自らの自己研鑽を目的に、会社に残り資料を閲覧することは、「使用者側の明示ないし黙示の指示がなく、業務性も低い(ない)」ことから、労働時間には当たらないと考えます。
しかしながら、同自己研鑽が上司から強制されていたり、あるいは本人の本務ないし近いうちに予定されている業務と密接不可分の場合は話が変わってきます。黙示の指示、業務性ともに認められることから、場合によっては「労働時間」とみなされる余地も残されていますので、その点は注意が必要です。
2000年以前は、多くの企業・官公庁は自己研鑽目的の在社に寛容(もちろん残業代は払っていませんが)であり、社員側もこの問題を正面から争う例は皆無でした。しかしながら、最近では労基署の監督指導はもとより、脳・心臓疾患、精神障害の労災認定・民事損害賠償例などでも、在社=職場における過重負荷と見る傾向が高いといえます。残業代請求事案などを見ていても、近年の裁判例の中には、ラフに残業時間数を認定する例などが散見されるところです。
企業のリスク管理からいえば、自己研鑽目的であれ在社させないのが原則と考えるほかない情勢です。私も駆け出しの頃、終業時間後に、先輩方の作成資料等を見ながら、仕事を覚えた一人として腑に落ちませんが、いずれにせよ企業において、自己研鑽目的での在社を認めるのであれば、その記録を何らかの方法で残すことに留意すべきでしょう。
2009年1月27日火曜日
生産管理に対する民事損賠賠償の可能性
京品ホテル:従業員禁止の立ち入り禁止の強制執行
同ホテル廃業に反対する従業員労働組合が自主営業を続けていた問題で、東京地裁は25日、従業員らをホテル施設から退去させ、立ち入り禁止とする強制執行を行った旨、報じられています。
これはまさに労働法でいう「生産管理」に他なりません。70年代までは、この生産管理が労働組合法あるいは憲法上、保護される争議行為等にあたるのか否か、激しい議論が学会において展開されていました。その後、このような組合闘争が下火になるにつれ、生産管理をめぐる法律問題が忘れられつつありましたが、上記事案はそれを思い起こさせるものです。
難しいのは、会社側が従業員のなす生産管理に対して、不法行為等を理由とした損害賠償請求を提起した場合です。この場合、同生産管理が民事免責される争議行為あるいは団体活動といえるか否かが問題となります。
過去の裁判例を前提にすれば、同請求は民事上認められる可能性がたぶんにあるものと思われます。最近、70年代の労働法文献を読み返していますが、労働問題は繰り返すという他ありません。現代型の生産管理が今後、引き続き生じた場合、この問題に対する70年代以前の裁判例・議論の見直しとともに、今日的な問題解決が問われることになりそうです。
同ホテル廃業に反対する従業員労働組合が自主営業を続けていた問題で、東京地裁は25日、従業員らをホテル施設から退去させ、立ち入り禁止とする強制執行を行った旨、報じられています。
これはまさに労働法でいう「生産管理」に他なりません。70年代までは、この生産管理が労働組合法あるいは憲法上、保護される争議行為等にあたるのか否か、激しい議論が学会において展開されていました。その後、このような組合闘争が下火になるにつれ、生産管理をめぐる法律問題が忘れられつつありましたが、上記事案はそれを思い起こさせるものです。
難しいのは、会社側が従業員のなす生産管理に対して、不法行為等を理由とした損害賠償請求を提起した場合です。この場合、同生産管理が民事免責される争議行為あるいは団体活動といえるか否かが問題となります。
過去の裁判例を前提にすれば、同請求は民事上認められる可能性がたぶんにあるものと思われます。最近、70年代の労働法文献を読み返していますが、労働問題は繰り返すという他ありません。現代型の生産管理が今後、引き続き生じた場合、この問題に対する70年代以前の裁判例・議論の見直しとともに、今日的な問題解決が問われることになりそうです。
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