厚労省は昨日(平成22年3月15日付け)、「計画停電時の休業手当について」を行政通達として発出しました(こちら)。
●計画停電中の休業について
計画停電時には多くの事業場で操業・営業を停止することになります。その結果、従業員に対し休業を命じざるを得ませんが、同休業時間中、使用者に休業手当(労基法26条)の支払い義務が生じるかが問題となりえます。
この問題について、まず計画停電実施中の操業・営業不能を理由とした休業は、一般に事業主の関与範囲外の事由によるものであり、労基法26条のいうところの「使用者の責めに帰すべき事由」に該当しないと考えられます。厚労省も先の通達で以下のとおり明確に休業手当の対象外となる旨、明言しています。
計画停電の時間帯における事業場に電力が供給されないことを理由とする休業については、原則として法第26条の使用者の責めに帰すべき事由に該当しないこと
●計画停電前後の休業について
これに対して計画停電の前後または終日を休業した場合、これが「使用者の責めに帰すべき事由」によるものか問題となりえます。これについて先の行政解釈では以下の判断基準を示しています。
計画停電の時間帯以外の休業は、原則として法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業に該当すること。ただし、計画停電が実施された日において、計画停電の時間帯以外の時間帯を含めて休業とする場合であって、他の手段の可能性、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、計画停電の時間帯のみを休業とすることが企業の経営上著しく不適当と認められるときには、計画停電の時間帯以外の時間帯を含めて原則として法26条の使用者の責めに帰すべき事由による休業には該当しないこと。
以上の通達のとおり、計画停電以外の時間帯における休業は原則として休業手当の支払い義務があるとしますが、その一方、例外として「計画停電の時間帯のみを休業とすることが企業の経営上著しく不適当と認められるとき」には、他の時間帯含め、休業手当の支払いを要しないとするものです。問題は如何なる場合がこの例外事由にあたるかですが、これについて同通達では「他の手段の可能性、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案」とします。
もう少し具体的な事例を基に考えてみると、例えば計画停電の結果、工場・物流等に大きな乱れが生じ、製品・原材料納入が欠品したため店舗等での終日休業等を余儀なくされた場合などは、「休業回避」の努力を尽くしているといえるため、この例外事由に該当するものと思われる。
なお同通達では計画停電が予定されるも、実際に実施されなかった場合については「計画停電の予定、その変更の内容やそれが公表された時期」を踏まえて、上記に基づき判断することとします。ここ数日来の計画停電の未実施例については、直前又はその後に未実施が告知されることが多いようですが、同ケースなどは公表された時期があまりに切迫している事等から、使用者側が休業を回避する事は困難であり、休業手当の支払い義務は負わないものと思われます。
まずは行政通達のご紹介と簡単な解説にて。
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