2009年4月1日水曜日

改正雇用保険法施行に伴う実務対応②

 改正雇用保険法が施行されました。厚労省も動きが早く、3月31日早々にHPで改正法の周知施行規則案等のUPを行っています。ここでは、同改正法施行に伴う企業の実務課題として、雇用保険適用漏れの非正規社員からの遡及適用請求の問題を取り上げます。

 今回の改正では、非正規雇用の雇い止めに対して、雇用保険から手厚い保障を行うことが大きな特徴です。またマスコミにおいても非正規雇用に対する雇用保険からの保障拡大が大きく報じられたことから、有期雇用の社員が雇用保険制度に抱く「期待」はこれまでになく高まっています。
 今までは従業員側が雇用保険料折半分の負担を厭い、いわば労使の暗黙の了解のうちに、「継続雇用の見込みがない」ことを理由に同手続き・保険料納付を行ってこなかったケースも多いと予想されますが、その場合も社会保険は強制加入であるため、従業員側が態度をいわば豹変させて、雇用保険加入を事後的に迫ったとしても、適用対象であれば、これに応じるほかありません。法令上も従業員が事後的に、職安に対して雇用保険の適用を確認する権利が付与されています(雇用保険法8条 確認の請求(※過去2年に遡ること可))。

 問題は適用要件である、「1年継続雇用見込み」(平成21年3月31日まで)、もしくは「6か月継続雇用見込み」(平成21年4月1日以降)の判断基準です。これについては、厚労省資料の中に大変分かりやすい資料が示されていました(こちら)。
 この資料をみて、頭を抱える人事担当者が多いのではないでしょうか。特に下から2つ目の例とその適用判断は、ハローワークの現場レベルでも混乱が見られるところがあり、十分に伝えられてこなかった判断部分のように思われます。例えばスーパーなどで勤務する週20時間以上のパート社員について、1年以上継続して勤務した場合は、更新以降に雇用保険を加入させるものの、初回契約時は「更新の有無が明らかではない」ことから未加入としてきた例が多いと思われます。これが先のペーパーによれば、「雇入れの目的、同種社員の雇用実績等から継続雇用が見込まれる」場合は、初回契約から雇用保険の適用対象になる旨、示されています。すでに初回契約から適用済みの企業は慌てる必要はありませんが、そうではない企業はこの点について、改めて実務対応策を検討する要があります。

 先日の審議会の席においても、厚労省事務局は再三再四、非正規雇用の雇用保険適用の適正促進と周知に努める旨、答弁していました。今後、同適用については、従業員からの確認あるいはハローワークの調査・指導等を契機に法的リスクが増大することが予想されます。この問題については、早めに社内点検の上、加入漏れへの対応、退職者からの請求に対する対応準備などを検討しておく要がありそうです。

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