先日、厚労省はパートタイム労働法の施行状況を公表しました(こちら)。
平成20年度のパートタイム労働に関する相談件数と均等室の行政指導件数、紛争解決援助の状況が発表されておりますが、予想以上に積極的な行政指導状況が見られ、驚かされました。
当初から改正パート法施行に伴い、労働条件の文書交付に係る指導は多いとは考えていましたが、公表資料によれば、転換推進措置に係る指導がそれを上回っています(労働条件文書交付約2100件に対し、転換推進措置が2953件)。
また、これ以上に驚かされるのが、賃金の均衡待遇(9条)に係る指導件数の多さです(約1000件)。9条の賃金均衡待遇はいずれも努力義務規定ですが、均等室は同規定の遵守を行政指導をもって、積極的に指導している状況が伺えるところです。
これに対し、改正パート法施行時に最も注目されていた「正社員と同視できる短時間労働者」に対する差別的取り扱いの禁止(8条)については、年間での行政指導件数が全国でわずか7件でした。また紛争解決援助において局長指導の申し立てがあったのが4件、均衡待遇調停会議に至っては全国でわずか3件(いずれも差別的取り扱い禁止の申し立て)とのことです。
同公表結果をみると、改正パート法への対応は、差別的取り扱い禁止よりも、まずは労働条件明示と賃金制度の整備(職務内容、勤続年数、意欲等の客観的評価基準に基づいた賃金制度の構築)そして転換推進措置の導入が急務ということが分かります。
これについて、厚労省はようやく昨年度の「有期契約労働者の雇用管理の改善に関する研究会」に課された宿題である企業取り組みの事例集を取りまとめ、公表しました(こちら)。フルタイムを含めた有期契約労働者の雇用管理の取り組みについて、13もの多種多様な企業事例が掲載されています。とくに先ほどの改正パート法上の指導が目立つ転換推進措置、賃金制度構築などで参考になる事例が多く、パート雇用管理に悩む実務担当者にとって有益な資料と思われるところです。
このような企業事例集の策定・公表は他の分野も含めて、今後も引き続き厚生労働省にお取り組みいただきたいものです。