今年は色々と形に残る仕事ができた1年でした。その成果の質についてはご指導を頂くべき点が多々あろうかと思いますが、様々な媒体に成果物を発表できた点は満足しています。それも、ひとえに周りの方々のサポートのお陰。感謝の念を強くする次第です。
来年は何よりも基盤整備の年となりますが、それとともに版を重ねられるような仕事をぜひしたいと考えております。ご指導の方、よろしくお願いいたします。
2008年12月31日水曜日
2008年12月30日火曜日
(ドラマ)恋せども、愛せども
ドラマ「恋せども、愛せども」(WOWOW、2008)
金沢が舞台のヒューマンドラマ。岸恵子、壇ふみ、長谷川京子、京野ことみの4人が共演(いずれも好きな女優さんたちです(笑))。WOWOWドラマのせいか、「説明」が多い感あり。もう少し、役者さんの演技に信頼を置き、説明を画面に委ねるべきと思います。
金沢。特に浅野川と金沢ひがし廓の風景が懐かしい。個人的には金沢の風景を楽しめただけ良しとしたい作品。金沢在住時代は、ひがし廓から見ると浅野川対岸になる橋場町のアパートで生活していました。今年の洪水では大変だったと思います。あのアパートは今も残っているのか気になるところ。
金沢が舞台のヒューマンドラマ。岸恵子、壇ふみ、長谷川京子、京野ことみの4人が共演(いずれも好きな女優さんたちです(笑))。WOWOWドラマのせいか、「説明」が多い感あり。もう少し、役者さんの演技に信頼を置き、説明を画面に委ねるべきと思います。
金沢。特に浅野川と金沢ひがし廓の風景が懐かしい。個人的には金沢の風景を楽しめただけ良しとしたい作品。金沢在住時代は、ひがし廓から見ると浅野川対岸になる橋場町のアパートで生活していました。今年の洪水では大変だったと思います。あのアパートは今も残っているのか気になるところ。
整理解雇法理について(解雇回避措置)
拙稿「解雇回避措置論」労働法律旬報1502号34頁を久々に読み返しました。
2001年、北大大学院の修士1年の際、道幸先生のご指導の下、整理解雇判例の共同研究の一環として書いた論文です。最近の経済情勢をみるにつけ、改めて整理解雇について勉強をしておく要があると思い、ここ10年くらいの整理解雇関係の文献を読んでいたのですが、その中に拙稿が含まれていた次第。
書いてから読み返す機会もありませんでしたので、大変新鮮に読むことができました。案外書けていると思う一方、物足りない面も多々感じます。拙稿は整理解雇における解雇回避措置の中でも、希望退職募集に焦点を絞って、判例に見るその措置内容を分析しています。それはいいとしても、この希望退職募集その他解雇回避措置は整理解雇法理全体において、どのような位置づけを持つのか等、十分に検討し尽くしていない面も多々あることを実感しました。
その後、整理解雇をめぐり参考となる論文が数多く出ていますが、その中で個人的に大変勉強になったのが神林龍編「解雇規制の法と経済」(日本評論社)所収の「整理解雇裁判例の分析」です。奥野先生、原先生が執筆された論考ですが、そこでは解雇回避「措置」ではなく、解雇回避に係る会社側の検討・準備こそが裁判所の判断において重きが置かれている旨、明快に論じられています。プロセス重視の視点から、整理解雇判例法理を改めて見直した論考です。
私の中で腑に落ちない面はあるのですが、同論文を通じて、刺激を受けるところ大でした。その他、先生方の論文を読み返していますと、整理解雇法理について共通した問題関心を指摘することができます。それは、事業所閉鎖・会社解散等、あるいは経営効率化のための組織再編を目的とした整理解雇への法的対応です。そのうえ、会社分割と労働契約承継という問題が登場しています。これら複雑困難性が高まる整理解雇に対し、従来型の整理解雇法理で対応できるのか、法理を修正するとしても、どのような方向性が考えられるのか、課題は尽きないところです。来年に向けて、また新たな課題ができました。
2001年、北大大学院の修士1年の際、道幸先生のご指導の下、整理解雇判例の共同研究の一環として書いた論文です。最近の経済情勢をみるにつけ、改めて整理解雇について勉強をしておく要があると思い、ここ10年くらいの整理解雇関係の文献を読んでいたのですが、その中に拙稿が含まれていた次第。
書いてから読み返す機会もありませんでしたので、大変新鮮に読むことができました。案外書けていると思う一方、物足りない面も多々感じます。拙稿は整理解雇における解雇回避措置の中でも、希望退職募集に焦点を絞って、判例に見るその措置内容を分析しています。それはいいとしても、この希望退職募集その他解雇回避措置は整理解雇法理全体において、どのような位置づけを持つのか等、十分に検討し尽くしていない面も多々あることを実感しました。
その後、整理解雇をめぐり参考となる論文が数多く出ていますが、その中で個人的に大変勉強になったのが神林龍編「解雇規制の法と経済」(日本評論社)所収の「整理解雇裁判例の分析」です。奥野先生、原先生が執筆された論考ですが、そこでは解雇回避「措置」ではなく、解雇回避に係る会社側の検討・準備こそが裁判所の判断において重きが置かれている旨、明快に論じられています。プロセス重視の視点から、整理解雇判例法理を改めて見直した論考です。
私の中で腑に落ちない面はあるのですが、同論文を通じて、刺激を受けるところ大でした。その他、先生方の論文を読み返していますと、整理解雇法理について共通した問題関心を指摘することができます。それは、事業所閉鎖・会社解散等、あるいは経営効率化のための組織再編を目的とした整理解雇への法的対応です。そのうえ、会社分割と労働契約承継という問題が登場しています。これら複雑困難性が高まる整理解雇に対し、従来型の整理解雇法理で対応できるのか、法理を修正するとしても、どのような方向性が考えられるのか、課題は尽きないところです。来年に向けて、また新たな課題ができました。
2008年12月24日水曜日
メンタルヘルス問題拡大の懸念について
ここ数日、年末年始を利用して手つかずであった勉強をしようと、大学図書館に通ってはせっせと文献漁りを続ける毎日。つらつら考えている中で、懸念が高まっているのが職場におけるメンタルヘルス問題の拡大です。従来、同問題は休職・復職の局面で問題視されてきましたが、来年以降(現象としては、すでに本年秋口から始まりつつある)、雇用調整の局面でこの問題が深刻化する懸念を感じています。
たとえば、会社側が従業員にリストラ目的で退職勧奨をしたとします。その後、同勧奨を受けた従業員が同勧奨及びその他事情(長時間労働、職場いじめその他)等が原因で精神疾患を発症した旨主張した場合、どのように考えるべきでしょうか。会社側として対応が非常に難しくなるのは間違いありません。
まず同従業員側は、労災申請を行う可能性があります。また会社側に対して、安全配慮義務違反を理由とした損害賠償請求をなす余地が残されています。その上、仮に業務上と認められた場合、原則として治癒するまで労基法上の解雇規制が生じることになります。
上記のような労災認定がなされず、私傷病扱いの精神疾患であったとしても、会社側に休職制度が設けられている場合は原則としてこれを利用させる必要が生じます。利用させずに整理解雇をするとすれば、会社側としても従来以上に万全の体制で臨まなければ、非常に難しい係争事案になると思われます。
この他、退職勧奨の態様に問題があれば、従業員側がPTSDであると主張する可能性もあります。この場合、後遺障害等級が高めに判断される場合もあり、会社側の法的リスクがいよいよ深刻化する懸念があるものです。
以上のとおり、雇用調整という切り口からメンタルヘルス問題を考えてみると、今後、事態が深刻化するのは間違いないようにも思えるところです。杞憂であれば良いのですが、いざの時のため検討は進めておく要があると思い、勉強を深めている次第。この成果は来年、どこかで表したいと考えております。
たとえば、会社側が従業員にリストラ目的で退職勧奨をしたとします。その後、同勧奨を受けた従業員が同勧奨及びその他事情(長時間労働、職場いじめその他)等が原因で精神疾患を発症した旨主張した場合、どのように考えるべきでしょうか。会社側として対応が非常に難しくなるのは間違いありません。
まず同従業員側は、労災申請を行う可能性があります。また会社側に対して、安全配慮義務違反を理由とした損害賠償請求をなす余地が残されています。その上、仮に業務上と認められた場合、原則として治癒するまで労基法上の解雇規制が生じることになります。
上記のような労災認定がなされず、私傷病扱いの精神疾患であったとしても、会社側に休職制度が設けられている場合は原則としてこれを利用させる必要が生じます。利用させずに整理解雇をするとすれば、会社側としても従来以上に万全の体制で臨まなければ、非常に難しい係争事案になると思われます。
この他、退職勧奨の態様に問題があれば、従業員側がPTSDであると主張する可能性もあります。この場合、後遺障害等級が高めに判断される場合もあり、会社側の法的リスクがいよいよ深刻化する懸念があるものです。
以上のとおり、雇用調整という切り口からメンタルヘルス問題を考えてみると、今後、事態が深刻化するのは間違いないようにも思えるところです。杞憂であれば良いのですが、いざの時のため検討は進めておく要があると思い、勉強を深めている次第。この成果は来年、どこかで表したいと考えております。
2008年12月23日火曜日
(読書)「パリの女は産んでいる」中島さおり(ポプラ文庫)
「パリの女は産んでいる」中島さおり著(ポプラ文庫)
2006年、フランスの合計特殊出生率は2.0パーセントを超えました。日本から見て、その出生率の高さは驚嘆に値します。仮にここまで我が国の出生率が持ち直したとすれば、懸案の少子高齢化問題、年金問題の多くが解消されることになります。
では、フランスにおいてなぜ、これだけ合計特殊出生率が増加したのか。その疑問を「恋愛大国フランス」という観点から、ミクロレベルで描写したのが、本書です。実に読み応えがありました。日仏文化比較としても大変、勉強になります。特に「フレンチママのサポートシステム」、「大人中心のリラックス子育て」を紹介した4章、5章は考えさせるところ大です。
少子化問題については、育児休業あるいは児童手当拡充、WLBの促進などマクロレベルで論じられることが多いのですが、これらの政策も個人レベルに影響を与えてこそ意味があります。どうも本書を読んでいると、お金の問題(金銭給付)も重要ですが、それ以上に親が「子育て、大人としての生活、仕事、休息」の4者のバランスに満足しうるためのサポートこそが決め手となりうると感じた次第です。
この少子化問題については、答えはよその国にあるはずはなく、日本で見つけるほかありません。しかし、他国の取組や状況を知ることは、日本を相対化し、より深く問題への対応を考える上で有益ではないでしょうか。本書のような著作が多く読まれれば良いと思います。
2006年、フランスの合計特殊出生率は2.0パーセントを超えました。日本から見て、その出生率の高さは驚嘆に値します。仮にここまで我が国の出生率が持ち直したとすれば、懸案の少子高齢化問題、年金問題の多くが解消されることになります。
では、フランスにおいてなぜ、これだけ合計特殊出生率が増加したのか。その疑問を「恋愛大国フランス」という観点から、ミクロレベルで描写したのが、本書です。実に読み応えがありました。日仏文化比較としても大変、勉強になります。特に「フレンチママのサポートシステム」、「大人中心のリラックス子育て」を紹介した4章、5章は考えさせるところ大です。
少子化問題については、育児休業あるいは児童手当拡充、WLBの促進などマクロレベルで論じられることが多いのですが、これらの政策も個人レベルに影響を与えてこそ意味があります。どうも本書を読んでいると、お金の問題(金銭給付)も重要ですが、それ以上に親が「子育て、大人としての生活、仕事、休息」の4者のバランスに満足しうるためのサポートこそが決め手となりうると感じた次第です。
この少子化問題については、答えはよその国にあるはずはなく、日本で見つけるほかありません。しかし、他国の取組や状況を知ることは、日本を相対化し、より深く問題への対応を考える上で有益ではないでしょうか。本書のような著作が多く読まれれば良いと思います。
2008年12月17日水曜日
定年送別会の事故と法的責任
「定年送別会の胴上げで落下、同僚らを刑事告訴」という痛ましい事件が報じられていました(asahi.com08.12.16)。同報道に接し、真っ先に考えたのは会社側の法的責任です。マスコミ報道をみる限り、ご遺族が会社側に対してなんらかの法的請求を行ったか否かは定かではありません。
仮にご遺族が労災認定を求めた場合、業務上認定がされ、遺族補償年金等が支給される可能性があるのでしょうか。また同僚3人らの不法行為に対する使用者責任(民法715条)を会社側に問える余地がないのでしょうか。先の報道された個別事案と離れて、この問題について法的論点の整理のみ行ってみます。
・会社主催の送別会ではどうか(なお先の報道事案は、有志主催とのこと) → 送別会参加に業務性があるとしても、「胴上げによる事故」が業務による送別会に内在するリスクといいうるのか? 故意に同僚が落下させたとすれば、業務起因性が否定されるか否か?
・会社主催ではないが、会社側が一定の費用負担を行ったり、参加案内等の便宜を図っていた場合、どうか
・社員が「退職後、開催された送別会で被災した」場合は、労災認定される余地はないか
・労災認定が不可としても、同送別会が職務との関連性を有する場合、同僚社員の不法行為に対し、会社側は使用者責任を負う可能性はあるか → 不法行為請求については、被害者が社員である必要なし(当然、被害者が業務で送別会に出ていたか否かも問題とならない)。
・使用者責任が認められるにしても、過失相殺の余地はあるか
・会社・加害社員との間の責任分担割合
以前、アメリカの労災補償制度を勉強していた際、驚かされたのは、職場における上司・同僚・部下間の「暴力」が、労災補償認定において大きなテーマとされている点でした。日本においても、上記問題のほか、パワハラ等をめぐる労災認定が深刻化しつつあります。同問題については、大学院在学中から関心を持ち続けているテーマですので、来年は、ぜひともまとまったものを書きたいと思っています。そのためには基礎研究が不可欠。年末年始は、少し腰を落ち着けて、労災認定と民事損害賠償について研鑽を深めたいと考えています。
仮にご遺族が労災認定を求めた場合、業務上認定がされ、遺族補償年金等が支給される可能性があるのでしょうか。また同僚3人らの不法行為に対する使用者責任(民法715条)を会社側に問える余地がないのでしょうか。先の報道された個別事案と離れて、この問題について法的論点の整理のみ行ってみます。
・会社主催の送別会ではどうか(なお先の報道事案は、有志主催とのこと) → 送別会参加に業務性があるとしても、「胴上げによる事故」が業務による送別会に内在するリスクといいうるのか? 故意に同僚が落下させたとすれば、業務起因性が否定されるか否か?
・会社主催ではないが、会社側が一定の費用負担を行ったり、参加案内等の便宜を図っていた場合、どうか
・社員が「退職後、開催された送別会で被災した」場合は、労災認定される余地はないか
・労災認定が不可としても、同送別会が職務との関連性を有する場合、同僚社員の不法行為に対し、会社側は使用者責任を負う可能性はあるか → 不法行為請求については、被害者が社員である必要なし(当然、被害者が業務で送別会に出ていたか否かも問題とならない)。
・使用者責任が認められるにしても、過失相殺の余地はあるか
・会社・加害社員との間の責任分担割合
以前、アメリカの労災補償制度を勉強していた際、驚かされたのは、職場における上司・同僚・部下間の「暴力」が、労災補償認定において大きなテーマとされている点でした。日本においても、上記問題のほか、パワハラ等をめぐる労災認定が深刻化しつつあります。同問題については、大学院在学中から関心を持ち続けているテーマですので、来年は、ぜひともまとまったものを書きたいと思っています。そのためには基礎研究が不可欠。年末年始は、少し腰を落ち着けて、労災認定と民事損害賠償について研鑽を深めたいと考えています。
ラベル:
労災
2008年12月15日月曜日
野党3党による「有期労働契約遵守法案」について
平成20年12月15日、民主党、社民党、国民新党の野党3党が参議院に「緊急雇用対策関連4法案」を提出した旨、報じられています(中国新聞)。その中には「有期労働契約遵守法案」が含まれていますが、同法案はどのような内容なのでしょうか。法案成立の目途については神のみぞ知るものですが、政治情勢不安定の中、思いがけずに急転直下、成立する可能性も否定できません。一応はフォローしておく要があるものです。
同法案の内容については、民主党HPに法案要綱等が掲載されていました。同法案は労働契約法17条以下に、有期労働契約者の雇用保護を目的とした以下の規定を追加することを目的としています。
1 有期雇用契約締結の目的規制
臨時・一時的業務、休業労働者の代替要員など一定の事由がある場合に限り、有期雇用契約の締結を認めるものとする(同事由に該当しないものは、有期労働契約として認めない→無期契約とみなす)。
2 有期労働契約者等に対する差別的取扱いの禁止
3 有期雇用契約の雇止めに対する規制
有期雇用契約の更新を本人が希望し、かつ、前の有期雇用契約の更新回数、勤続年数その他事情に照らして、更新をしないことが客観的に合理性を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、使用者がその更新を拒んではならないとするもの。
その他、労働者側の退職の自由(1年を超える有期契約における、期間中途の退職の自由)、雇止めの予告等。
(コメント)
思うに1~3いずれも労働法制全体にかかわるものであり、慎重な検討の上、進められるべき立法課題と考えます。とくに1の目的規制については、これを導入することにより、雇用市場全体が冷え込む懸念もあり、慎重な検討が不可避ではないでしょうか。また3については、民主党案を見ることにより、改めて有期契約の雇止め法理を立法化することの難しさを痛感させられました。いずれにしても同法案に対し、世論がどのような反応を示すものなのかが、大変気になるところです。今後の労働法制の将来像を占ううえでも、注目されます。
同法案の内容については、民主党HPに法案要綱等が掲載されていました。同法案は労働契約法17条以下に、有期労働契約者の雇用保護を目的とした以下の規定を追加することを目的としています。
1 有期雇用契約締結の目的規制
臨時・一時的業務、休業労働者の代替要員など一定の事由がある場合に限り、有期雇用契約の締結を認めるものとする(同事由に該当しないものは、有期労働契約として認めない→無期契約とみなす)。
2 有期労働契約者等に対する差別的取扱いの禁止
3 有期雇用契約の雇止めに対する規制
有期雇用契約の更新を本人が希望し、かつ、前の有期雇用契約の更新回数、勤続年数その他事情に照らして、更新をしないことが客観的に合理性を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、使用者がその更新を拒んではならないとするもの。
その他、労働者側の退職の自由(1年を超える有期契約における、期間中途の退職の自由)、雇止めの予告等。
(コメント)
思うに1~3いずれも労働法制全体にかかわるものであり、慎重な検討の上、進められるべき立法課題と考えます。とくに1の目的規制については、これを導入することにより、雇用市場全体が冷え込む懸念もあり、慎重な検討が不可避ではないでしょうか。また3については、民主党案を見ることにより、改めて有期契約の雇止め法理を立法化することの難しさを痛感させられました。いずれにしても同法案に対し、世論がどのような反応を示すものなのかが、大変気になるところです。今後の労働法制の将来像を占ううえでも、注目されます。
2008年12月13日土曜日
経済情勢の悪化を踏まえた適切な行政運営方針とは(有期雇用契約関係)
有期雇用契約については、従来から様々な法規制あるいは指針上のルールが定められています。まず労働基準法において契約期間の上限(原則3年、例外5年)等が定められています(同法14条1項)。また平成20年3月に施行された労働契約法においても、「有期契約期間中の解雇はやむを得ない事由がなければできない」、「有期契約期間を必要以上に細切れにしないように努めること(同法17条)が明文化されました。
これとともに、実務上重要であるのが「有期労働契約の締結・更新・雇止めに関する基準」(以下、雇止め指針)です。同指針には、有期契約締結時の明示事項(更新の有無、更新の判断基準など)、雇止めの際の予告ルール(有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている場合、少なくとも契約期間終了する日の30日前までに予告)などが定められています。同指針には法的拘束力はなく、労基署が同指針に基づき、助言指導を行うことができる(同法3項)形式でのルール実効性確保を図っています。しかしながら、同指針については、実のところさほど厳しい指導が展開されてきませんでした(なお有期契約労働者に係る法規制、指針その他ガイドラインを分かりやすくまとめたものとして、厚労省「有期契約労働者の雇用管理の改善に関するガイドライン」(2008))。
これが先日、現下の厳しい雇用失業情勢とりわけ有期契約労働者等の雇い止めが深刻化する中、発出された新通達で流れが変わる可能性があります(「経済情勢の悪化を踏まえた適切な行政運営方針について」(平成20年12月9日)地発第1209001号、基発第1209001号参照)。まず同通達では、労使双方に対し、雇止め指針など有期契約労働者に係る労働ルールを周知徹底する旨、明確に打ち出されました。その上で、労基署における申告事案への優先的な対応として、「有期契約労働者に係る事案であっても、雇止め等に関する基準に適合していないおそれのあるものについては、必要な調査を行い、労働基準法第14条3項に基づく助言・指導等を行うこと」とされました。今後は先の雇止め指針に定める書面明示、雇止め予告等に係る企業への助言・指導例が急増することが予想されるところであり、各企業においては、改めて同雇止め指針に基づく有期雇用契約書及び運用双方の社内点検が求められます。
これだけではありません。有期雇用契約については、判例法理において、以前から有期雇用契約を反復更新等していた場合、契約期間満了を理由とした雇止めに解雇権濫用法理が類推適用されることがありました。これを受けて、先の新通達においても、「雇止め・・については、労働基準法等で定める法定労働条件を遵守することはもとより、労働契約法や裁判例等に照らして不適切な取扱いが行われることのないよう、事業主等にたいし・・周知を図り、適切な労務管理の必要性について啓発指導を行うこと」とされており、雇止め指針の指導とともに「事前に労使間での話合いや労働者への説明が十分に行うことが重要である旨説明すること」が全国の労働基準監督署に指示されています。
雇止めの問題は、その予告を除いて、労基署がさほど指導実績が乏しい分野です。現下の厳しい経済環境を踏まえた上での通達ではありますが、この「啓発指導」の具体的内容と、それが企業実務に与える影響については、今後の労基署の動向を見守る必要があります。いずれにせよ、有期雇用契約の雇止め問題が、来年に向けて、労働法上、注目が高まる可能性を感じているものです。
これとともに、実務上重要であるのが「有期労働契約の締結・更新・雇止めに関する基準」(以下、雇止め指針)です。同指針には、有期契約締結時の明示事項(更新の有無、更新の判断基準など)、雇止めの際の予告ルール(有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている場合、少なくとも契約期間終了する日の30日前までに予告)などが定められています。同指針には法的拘束力はなく、労基署が同指針に基づき、助言指導を行うことができる(同法3項)形式でのルール実効性確保を図っています。しかしながら、同指針については、実のところさほど厳しい指導が展開されてきませんでした(なお有期契約労働者に係る法規制、指針その他ガイドラインを分かりやすくまとめたものとして、厚労省「有期契約労働者の雇用管理の改善に関するガイドライン」(2008))。
これが先日、現下の厳しい雇用失業情勢とりわけ有期契約労働者等の雇い止めが深刻化する中、発出された新通達で流れが変わる可能性があります(「経済情勢の悪化を踏まえた適切な行政運営方針について」(平成20年12月9日)地発第1209001号、基発第1209001号参照)。まず同通達では、労使双方に対し、雇止め指針など有期契約労働者に係る労働ルールを周知徹底する旨、明確に打ち出されました。その上で、労基署における申告事案への優先的な対応として、「有期契約労働者に係る事案であっても、雇止め等に関する基準に適合していないおそれのあるものについては、必要な調査を行い、労働基準法第14条3項に基づく助言・指導等を行うこと」とされました。今後は先の雇止め指針に定める書面明示、雇止め予告等に係る企業への助言・指導例が急増することが予想されるところであり、各企業においては、改めて同雇止め指針に基づく有期雇用契約書及び運用双方の社内点検が求められます。
これだけではありません。有期雇用契約については、判例法理において、以前から有期雇用契約を反復更新等していた場合、契約期間満了を理由とした雇止めに解雇権濫用法理が類推適用されることがありました。これを受けて、先の新通達においても、「雇止め・・については、労働基準法等で定める法定労働条件を遵守することはもとより、労働契約法や裁判例等に照らして不適切な取扱いが行われることのないよう、事業主等にたいし・・周知を図り、適切な労務管理の必要性について啓発指導を行うこと」とされており、雇止め指針の指導とともに「事前に労使間での話合いや労働者への説明が十分に行うことが重要である旨説明すること」が全国の労働基準監督署に指示されています。
雇止めの問題は、その予告を除いて、労基署がさほど指導実績が乏しい分野です。現下の厳しい経済環境を踏まえた上での通達ではありますが、この「啓発指導」の具体的内容と、それが企業実務に与える影響については、今後の労基署の動向を見守る必要があります。いずれにせよ、有期雇用契約の雇止め問題が、来年に向けて、労働法上、注目が高まる可能性を感じているものです。
2008年12月10日水曜日
育児休業法トリビア(夫・妻双方が育休を取れる?)
(Question)A氏(男性、36歳会社員)は、妻(会社員)、3歳の長女の3人世帯で生活していたところ、先月、妻が三つ子を出産しました。明日には妻が退院し、6人家族となります。妻は産後休暇明け後、1年間の育児休業を取得しますが、先日、真顔で「私だけでは4人の子供の面倒は見れません。あなたも育児休業を取って、3歳の長女の面倒だけでも見てほしい」と言われました。
A氏も育児休業を取得することは可能なのでしょうか?なおA氏及びA氏の妻の会社には、育児介護休業法関係の労使協定がないことを前提とします。
先日、読売新聞の大津和夫さんに「改正育児介護休業法案の動向」について、セミナー講演を頂きました。その際、話題になった問題です。結論からいえば、A氏が育児休業を取得することはできます。会社はこれを拒むことはできません。
「そんなはずない」と思われた方が多いと思いますが、まず自社の労使協定をご確認ください。設問では労使協定がないことを前提としましたが、労使協定を締結し、「配偶者が専業主婦(夫)である場合、育児休業を取得させない」旨、明らかにしておけば、専業主婦(夫)のいる社員は育児休業を取得できなくなります。同協定は企業全体の7割で締結されているとのデータがあり、多くの企業ではあまり意識せずとも、そのような労使協定を根拠に、A氏の請求を拒むことが現状において可能です。
しかしながら、先日も本ブログで取り上げましたが、この労使協定による適用除外を撤廃すべきであるとの議論が、今回の育児介護休業法改正案において検討されています。同法案が国会に提出され、成立すれば、A氏(といいますが、A氏の奥様というべきか)の願いがかなうことになるものです。順調に来年度の通常国会で成立すれば、施行が平成22年4月1日を予定しているとのこと。
では法施行されれば、A氏含め、すべての社員が育児休業を取りだすかですが、実のところ、爆発的に増えることはないと思われます。育児休業中の所得保障の問題が残されているからです。雇用保険からの給付のみでやっていければよいのですが、給付水準が従前所得の5割程度にとどまることから、やはりどちらかが、働かざるを得ないと思います。あるとすれば、奥さんの退院後しばらく生活が落ち着くまで、あるいは長女長男の入学・入園時期などの短期間のみ双方が取得することは、ありうると思うところです。
最後にトリビアを一つ。
「奥さんの産後休業期間中(産後8週間まで)、夫は育児休業を取ることができる(労使協定があったとしても)」
※奥様が専業主婦であろうが、共稼ぎであろうが同じです。要はこの間は奥様も産後休業で休んでいるのであり、「育児休業」を取得している訳ではないので、夫が育児休業を取ることが当然可能となる)
私も実はよく知らなかったのですが(お恥ずかしい)、上記のとおりです。A氏もまず奥様の産後休業中、思い切って育児休業を取って、その後しばらく続く「激動の子育て期」における生活設計を金銭面含め、相談しておくことが良策と思います。 なおA氏は今のところ私のことではありません、念のため(笑)。
A氏も育児休業を取得することは可能なのでしょうか?なおA氏及びA氏の妻の会社には、育児介護休業法関係の労使協定がないことを前提とします。
先日、読売新聞の大津和夫さんに「改正育児介護休業法案の動向」について、セミナー講演を頂きました。その際、話題になった問題です。結論からいえば、A氏が育児休業を取得することはできます。会社はこれを拒むことはできません。
「そんなはずない」と思われた方が多いと思いますが、まず自社の労使協定をご確認ください。設問では労使協定がないことを前提としましたが、労使協定を締結し、「配偶者が専業主婦(夫)である場合、育児休業を取得させない」旨、明らかにしておけば、専業主婦(夫)のいる社員は育児休業を取得できなくなります。同協定は企業全体の7割で締結されているとのデータがあり、多くの企業ではあまり意識せずとも、そのような労使協定を根拠に、A氏の請求を拒むことが現状において可能です。
しかしながら、先日も本ブログで取り上げましたが、この労使協定による適用除外を撤廃すべきであるとの議論が、今回の育児介護休業法改正案において検討されています。同法案が国会に提出され、成立すれば、A氏(といいますが、A氏の奥様というべきか)の願いがかなうことになるものです。順調に来年度の通常国会で成立すれば、施行が平成22年4月1日を予定しているとのこと。
では法施行されれば、A氏含め、すべての社員が育児休業を取りだすかですが、実のところ、爆発的に増えることはないと思われます。育児休業中の所得保障の問題が残されているからです。雇用保険からの給付のみでやっていければよいのですが、給付水準が従前所得の5割程度にとどまることから、やはりどちらかが、働かざるを得ないと思います。あるとすれば、奥さんの退院後しばらく生活が落ち着くまで、あるいは長女長男の入学・入園時期などの短期間のみ双方が取得することは、ありうると思うところです。
最後にトリビアを一つ。
「奥さんの産後休業期間中(産後8週間まで)、夫は育児休業を取ることができる(労使協定があったとしても)」
※奥様が専業主婦であろうが、共稼ぎであろうが同じです。要はこの間は奥様も産後休業で休んでいるのであり、「育児休業」を取得している訳ではないので、夫が育児休業を取ることが当然可能となる)
私も実はよく知らなかったのですが(お恥ずかしい)、上記のとおりです。A氏もまず奥様の産後休業中、思い切って育児休業を取って、その後しばらく続く「激動の子育て期」における生活設計を金銭面含め、相談しておくことが良策と思います。 なおA氏は今のところ私のことではありません、念のため(笑)。
2008年12月6日土曜日
改正労基法について思うこと
昨日(2008.12.5)、改正労基法が成立しました。割増賃金率の引き上げ(月間60時間超に5割増)が大きな改正点であります。
学部で労働法を学んでいた時から、割増賃金について、このような議論を聞いておりました。「日本の割増賃金率は諸外国に比べて低い(労働法規制の乏しいアメリカですら、5割増)。そのため、日本では長時間労働が蔓延しているのであり、割増賃金率の引き上げが不可避である」と。
確かに労働経済学者の議論を借りるまでもなく、割増賃金率が低いとその分、時間外労働をさせるコストが安く済むのは間違いないでしょう。仕事量が仮に一時、多くなったとしても、代替要員を補充するよりも、採用コスト等と比較すれば、既存社員を残業させた方が低コストになると思います。理論上は・・・・。
問題は割増賃金率を25%から50%に引き上げる(しかも月間60時間以上の時間外労働に)ことによって、既存社員の残業<代替要員補充にシフトチェンジするといえるのか否かです。
そもそも先の議論自体が通用する労使関係は、それほど広くないようにも思えます。製造業工場の現場作業に従事する社員についての要員管理であれば、その種の議論がストレートに適用されるような気がしますが、ホワイトカラー事務員の職場をみれば、この議論は違和感を覚えるところではないでしょうか。
極論をいえば、ホワイトカラー労働については、やってもらうべき仕事があれば、割増賃金率がどうであれ、同社員にやってもらわざるを得ないところがあり、割増賃金率が高い=代替要員へのシフトチェンジという流れで、労務管理が変容していくものか素朴に疑問を感じています。 また、そもそもホワイトカラー層の労働時間数把握について、問題が山積していることは周知のとおりです。
とすれば、今回の法改正は、一体何のための改正なのでしょうか。改めて改正労基法が国会に提出された際の理由をみると、次のように述べられています。
「長時間にわたり労働する労働者の割合が高い水準で推移していること等に対応し、労働以外の生活のための時間を確保しながら働くことができるようにするため、一定の時間を超える時間外労働について割増賃金の率を引き上げる」(提出時法律案)。
やはり長時間労働防止が目的とのことです。確かに「一定の時間」である月間60時間という残業時間数は、「過労死認定基準」と相まって、今後、人事労務管理上押さえておくべき数字として広がることは確実です。その意味で「宣伝効果」はあると思いますが、経済合理性の観点から、企業が残業に代わって、代替要員確保を行うインセンティブが高まるとは思えません(ホワイトカラー層。工場の現業部門であれば、その可能性はあるかもしれませんが)。
本当に政府が長時間労働防止のために労働時間規制を行おうとするのであれば、濱口桂一郎先生が以前から紹介されているとおり、EU規制に見られる休息時間規制(仕事終了後、最低11時間の休息を与えた上でなければ、就労させてはならないということ)が最も効果的であるのは間違いないと思います。そもそも過労死認定基準の月間100時間、もしくは2か月~6か月平均で80時間以上の時間外労働という数字も、生活のため最低必要な時間+睡眠時間「6時間」を確保できるか否かという観点から、算出された数字とされています。とすれば、休息時間規制が最も過労死等の防止からも適切な措置といいうるのですが、この点についての議論は残念ながら、あまり進んでいないようです。
いずれにせよ、改正労基法が成立しました。実務家としては、この法律の施行までに相応の準備を行っていく必要がある訳ですが、率直に言って、どうにも腑に落ちないところが多い法改正と思います。
ところで労基署からの監督指導においても、平成22年4月以降は残業時間数が60時間なのか、60時間1秒であるのかを問われる(1秒は極論ですが、一応法律上はそうなります)ことになります。またまた関係者すべてにとって骨のおれる問題が生じることになりそうです。
腑に落ちないところがあるにせよ、実務担当者としては、総額人件費管理、リスク管理そして労基署対応の面から、平成22年4月までに「極力、月間60時間を超える残業はしない、させない」を徹底する他ないと考えるところです。
学部で労働法を学んでいた時から、割増賃金について、このような議論を聞いておりました。「日本の割増賃金率は諸外国に比べて低い(労働法規制の乏しいアメリカですら、5割増)。そのため、日本では長時間労働が蔓延しているのであり、割増賃金率の引き上げが不可避である」と。
確かに労働経済学者の議論を借りるまでもなく、割増賃金率が低いとその分、時間外労働をさせるコストが安く済むのは間違いないでしょう。仕事量が仮に一時、多くなったとしても、代替要員を補充するよりも、採用コスト等と比較すれば、既存社員を残業させた方が低コストになると思います。理論上は・・・・。
問題は割増賃金率を25%から50%に引き上げる(しかも月間60時間以上の時間外労働に)ことによって、既存社員の残業<代替要員補充にシフトチェンジするといえるのか否かです。
そもそも先の議論自体が通用する労使関係は、それほど広くないようにも思えます。製造業工場の現場作業に従事する社員についての要員管理であれば、その種の議論がストレートに適用されるような気がしますが、ホワイトカラー事務員の職場をみれば、この議論は違和感を覚えるところではないでしょうか。
極論をいえば、ホワイトカラー労働については、やってもらうべき仕事があれば、割増賃金率がどうであれ、同社員にやってもらわざるを得ないところがあり、割増賃金率が高い=代替要員へのシフトチェンジという流れで、労務管理が変容していくものか素朴に疑問を感じています。 また、そもそもホワイトカラー層の労働時間数把握について、問題が山積していることは周知のとおりです。
とすれば、今回の法改正は、一体何のための改正なのでしょうか。改めて改正労基法が国会に提出された際の理由をみると、次のように述べられています。
「長時間にわたり労働する労働者の割合が高い水準で推移していること等に対応し、労働以外の生活のための時間を確保しながら働くことができるようにするため、一定の時間を超える時間外労働について割増賃金の率を引き上げる」(提出時法律案)。
やはり長時間労働防止が目的とのことです。確かに「一定の時間」である月間60時間という残業時間数は、「過労死認定基準」と相まって、今後、人事労務管理上押さえておくべき数字として広がることは確実です。その意味で「宣伝効果」はあると思いますが、経済合理性の観点から、企業が残業に代わって、代替要員確保を行うインセンティブが高まるとは思えません(ホワイトカラー層。工場の現業部門であれば、その可能性はあるかもしれませんが)。
本当に政府が長時間労働防止のために労働時間規制を行おうとするのであれば、濱口桂一郎先生が以前から紹介されているとおり、EU規制に見られる休息時間規制(仕事終了後、最低11時間の休息を与えた上でなければ、就労させてはならないということ)が最も効果的であるのは間違いないと思います。そもそも過労死認定基準の月間100時間、もしくは2か月~6か月平均で80時間以上の時間外労働という数字も、生活のため最低必要な時間+睡眠時間「6時間」を確保できるか否かという観点から、算出された数字とされています。とすれば、休息時間規制が最も過労死等の防止からも適切な措置といいうるのですが、この点についての議論は残念ながら、あまり進んでいないようです。
いずれにせよ、改正労基法が成立しました。実務家としては、この法律の施行までに相応の準備を行っていく必要がある訳ですが、率直に言って、どうにも腑に落ちないところが多い法改正と思います。
ところで労基署からの監督指導においても、平成22年4月以降は残業時間数が60時間なのか、60時間1秒であるのかを問われる(1秒は極論ですが、一応法律上はそうなります)ことになります。またまた関係者すべてにとって骨のおれる問題が生じることになりそうです。
腑に落ちないところがあるにせよ、実務担当者としては、総額人件費管理、リスク管理そして労基署対応の面から、平成22年4月までに「極力、月間60時間を超える残業はしない、させない」を徹底する他ないと考えるところです。
2008年12月3日水曜日
経営悪化を理由とした有期契約の雇止めの可否について
労働法学研究会報に連載中の「事例でみる労働法」1月号原稿の初稿がおおむね仕上がりました。今回取り上げましたのは、上記テーマです。日立メディコ事件、三洋電機事件、丸子警報器事件そして芙蓉ビジネスサービス事件という4つの判例を取り上げ、経営悪化を理由とした雇止めがいかなる場合に規制されるのか検討しております。特に雇用継続の期待に応じた雇止め回避措置の内容を整理した点が意義あるところと考えております。
本日も、某自動車会社の有期雇用契約社員の雇止めが提訴されたとする報に接しました。今後、経営情勢に伴う有期契約社員の雇止めが更に深刻化する恐れがあり、過去の裁判例の再検討が一層重要になると感じております。そのような検討が不用となるような景気復調が強く望まれるところです。
本日も、某自動車会社の有期雇用契約社員の雇止めが提訴されたとする報に接しました。今後、経営情勢に伴う有期契約社員の雇止めが更に深刻化する恐れがあり、過去の裁判例の再検討が一層重要になると感じております。そのような検討が不用となるような景気復調が強く望まれるところです。
2008年12月2日火曜日
初仕事と昭和へのタイムスリップ
昨日は社労士としての初仕事日。有期雇用契約問題を取り上げたセミナーで、2時間ほど話をさせていただきました。その後、M先生にお越しいただき、1時間程、ご質問に対する解説などを行いました。ご質問がいずれも、大変ポイントを突いたものであり、刺激的な質疑応答になりました。ご参加者のご清聴そして熱意に感謝する次第です。
同セミナーは秋葉原UDXという、出来たてほやほやのビル内会議室で開催いたしました。その後、M先生と私は「反省会」のため、秋葉原「赤津加」へ(居酒屋です(笑))。UDXから赤津加への移動はわずか5分程度でしたが、環境激変。平成からタイムカプセルに乗り「昭和」に戻ったような気がした程です。それにしても、菊正宗の熱燗と煮込みが絶品でした。M先生、ありがとうございます。
同セミナーは秋葉原UDXという、出来たてほやほやのビル内会議室で開催いたしました。その後、M先生と私は「反省会」のため、秋葉原「赤津加」へ(居酒屋です(笑))。UDXから赤津加への移動はわずか5分程度でしたが、環境激変。平成からタイムカプセルに乗り「昭和」に戻ったような気がした程です。それにしても、菊正宗の熱燗と煮込みが絶品でした。M先生、ありがとうございます。
2008年12月1日月曜日
映画「転々」
「時効警察」の三木聡監督作品。一言でいえば、吉祥寺から霞ヶ関まで散歩する債務者(オダギリジョー)とサラ金取り立て(三浦友和)の話。映画として成立するのか不安を抱いていたのですが、実におもしろい作品でした。小コントがずっと連鎖していく感じで、見ているものを飽きさせません。また劇中、描かれる東京の散歩道が実に良いのです。二人の散歩道を辿ってみたいと思うところです。
それにしても、冒頭の吉祥寺井の頭公園から笑わせていただきました。同公園近くの●せやという著名な焼鳥屋の前で、三浦友和の一言。「ここの焼き鳥、うまそうなんだければ、食べてみると、そうでもないんだよなぁ」。私は言葉を失いました(笑い)。
それにしても、冒頭の吉祥寺井の頭公園から笑わせていただきました。同公園近くの●せやという著名な焼鳥屋の前で、三浦友和の一言。「ここの焼き鳥、うまそうなんだければ、食べてみると、そうでもないんだよなぁ」。私は言葉を失いました(笑い)。
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