2012年2月22日水曜日

パート社会保険適用拡大どうなるの?

小宮山大臣の記者会見です。民主党内でまたも「大荒れ」の様子ですが、前原政調会長の発言を借りれば、大臣ご本人が「前のめり」である感を受けます(こちら)。最後のコメントですが「私は」という留保が入っているのが、なかなか味わい深い印象。

(記者)
 社会保険の適用拡大の関係で、昨日民主党の役員会で慎重論が出たということもありまして、前原政調会長までもと言いますか、厚労省が前のめりだというような発言をされていたようなのですが。
(大臣)
 前のめりとは、どういうことを言っているのでしょうね。前原政調会長とは私も直接話をしています。全体に消費税をご負担いただくことで企業への負荷がかかるところに、また今回短時間労働者への社会保険適用拡大をすると企業の負担が大きいということが特に経済成長を重視する皆さんなどからご批判があることは重々承知をしています。ただ、この社会保険の適用拡大というのは、今回ずっと申し上げているように、消費税を5%上げさせていただくとして、その4%はどちらかというと今の制度安定化と後世にツケ回しをここで止めるということなので、1%の部分が充実な訳ですよね。その中の柱としては、子ども子育ての支援策と、それからこの格差をなくしていくことと、総理も先日施政方針でも言われた女性が参加をして輝く社会というのは、これは言っただけでは当然できませんので、環境整備をしていかなければいけない。そうした意味でも野党のときの19年に出された法案の主たる生計維持者20万人が対象と思われるところでは狭いという批判を民主党はしてきたので、私としては何としてもここで、もちろん現実を踏まえながら、現実的な中でもやはり非正規の皆さんが増えてきている、大体厚労省のほうの統計でも4割近くになっている訳ですので、特に女性は53%が非正規で働いているという中で、そうした非正規の皆さんの働き方をしっかりとバックアップをしていくということは、これからの日本の経済成長という意味からしても、当然必要だと思っています。そこのところはしっかりとそういう理解を深めてもらうように、働きかけをしていきたいと思っています。
(記者)
 今大臣は19年法案の20万人は狭いと仰いましたけれども、今回政府のほうに出されるのは、少なくともこの19年法案よりは前進したものを。
(大臣)
 はい。と、私は思っています。

2012年1月11日水曜日

パート厚生年金適用拡大の方針について(日経記事から)

今朝の日経新聞(2012.1.11)にパート社会保険適用拡大(厚労省案)が報じられています(こちら)。


厚生労働省は社会保障と税の一体改革素案に盛り込んだパート労働者の厚生年金・企業健保への加入拡大で、当面は従業員300人以下の企業で働くパートの適用を猶予する方針だ。中小企業の保険料負担が急増しないよう対象者を絞る。300人超の企業でも対象者は月収9.8万円以上に制限する激変緩和措置を検討する。


政府は厚生年金・企業健保の加入条件を週30時間以上労働から20時間以上に緩め、約400万人のパート労働者を国民年金・国民健康保険から厚生年金・企業健保に移す目標を掲げている。一体改革関連法案に盛り込む方向で、2015年度までの実現を目指している。(以下略)


 余計な一言を言わせていただければ「大山鳴動して鼠一匹」といったところでしょうか。当初はいっきょに400万人ものパート等を社会保険適用拡大するとの意気込みでしたが、次第にトーンダウンし、結局は自公政権が提出した年金一元化法案と同じく、300人以下の中小企業適用除外、対象者の月収9.8万円以上となるようです。適用対象者も数10万人に留まる見込みとの事。若干、平成19年法案と変わるところがあるとすれば、雇用保険法改正に合わせて、適用対象者の勤務期間が1年から31日に短縮される点などと思われます(平成19年当時の法案資料はこちら)。


 問題は同案による適用対象事業場・労働者の具体的範囲です。パート比率が高く、業界挙げて反対の声が根強い商業・外食などのサービス産業について考えてみると、1店舗あたりの社会保険適用対象者数だけ取り上げれば300人を超えるような事業場は少数と思われます。したがって、大規模小売店舗を除くと、これらサービス業の大半は適用から外れるようにも見えます。
 しかしながら、企業全体でみれば、優に社会保険適用対象者が300人を超える会社が多いところ、この点をどのようにカウントするのか。先の日経記事でも「300人以下の企業」と記載されており、労働者数のカウント方法が定かではありません。今後の実務対応上、最も重要な解釈問題といえます。さしあたり参考になるのが平成19年法案の資料ですが、中小零細企業の適用除外に係る記載の中に以下の注が見られます。
  「現在厚生年金の適用対象とされている従業員の人数で算定」


 まず本社・各店舗含めて、社会保険の一括適用事業場としている場合は、ねんきん事務所等の管理においても、当該企業全体の適用対象者数を合算していることからも、これが300人超であればさしあたり適用対象となりそうです。
 これに対して、社会保険の一括適用を行っていない場合はどうか。本社、各支店がそれぞれ独立した人事労務管理を行っており、社会保険手続き等も各々でなされている場合は、さしあたり各事業場(店舗)ごと300人以下か否かで適用対象か否か判別するのが現行実務に沿ったもののように思われますが、「企業」概念からみて違和感も生じるところです。この点について、厚労省がさらに踏み込んだ解釈運用を示す可能性があるかどうかが大変、注目されるところです。


 まず何よりも法案提出がされるのか、提出されたとして通常国会で可決成立するか。何らかの修正が国会において入るのかどうか。いずれも現状の情勢から見ると全くの未知数といえますので、当分は模様眺めが続きそうです。

2012年1月1日日曜日

新年のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
なお今月から事務所の部屋番号が503号室に移動いたしました(旧501号)。その他、住所、電話番号、e-mail等は従前どおりで変更ございません。

皆様にとって良い年でありますことを願っております。

2011年12月27日火曜日

選定基準廃止と継続雇用の対象外(高年法改正案)

高年法改正案でどうもよく分からないのが、選定基準の廃止と健康状態・能力不足の社員に対する適用排除の関係です。現行では、労使協定で、健康状態・能力不足等の選定基準をあらかじめ設け、これに該当する者に対し高齢者雇用継続措置を講じない取扱いが容認されています。
 これに対し、今回の改正案では、厚労省(事務方)は「選定基準」の廃止を早くから打ち出しており、使用者側が強く反発していますが、これを受けてか、昨日の労働政策審議会で報告書素案として示されたのが、以下の内容です(報告書素案はこちら)。


現行の継続雇用の対象となる高年齢者に係る基準は廃止することが適当である。 

その際、就業規則における解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く)に該当する者について継続雇用の対象外とすることもできるとすることが適当である(この場合、客観的合理性・社会的相当性が求められると考えられる)。  


 2行目以降の文章をどのように読めば良いのか、理解に苦しむところです。そもそも選定基準廃止によって、再雇用制度導入企業は、60歳を超えて雇用継続を希望する労働者がいれば、会社側の承諾の意思表示を要せずとも、「再雇用契約」が成立するといえるのかどうか。また会社側が不承諾とした場合、これは「雇用契約成立」後における「解雇」の意思表示とみるのか、あるいは有期契約の雇い止めに係る判例法理と同様に「解雇権濫用法理の類推適用」の局面と見るべきかどうか。

 また同報告書素案において「継続雇用の対象外とすることもできるとすることが適当」と記載されていますが、これは立法によって、判例法理等を修正しようとする意図と見て良いのかどうか。そのような意図がなければ、当該記述は「解雇」又は「定年雇い止め」に対し、裁判所が解雇権濫用法理を適用する可能性が高い旨述べたものに過ぎません。「適当」云々は、今後の判例法理の展開を待つほかなく、同報告書素案において記述すべき事項ではないようにも思えるところです。

 いずれにしても、明日には最終報告書が取りまとめられる予定です(もしくは越年?)。同報告書を待って、この問題も深掘りして考えていきたいと思います。

2011年12月26日月曜日

有期労働契約の利用可能期間規制案について(労政審建議)

平成23年12月26日、労働政策審議会は「有期労働契約の在り方について」(建議 こちら)を公表しました。厚労省は同建議を受けて、法案要綱案を取りまとめ、審議会で答申を得た上で平成24年度通常国会に関係法案の提出準備を進める予定です。

 先日の拙ブログでも取り上げたとおり、同報告書において最も注目すべきは「有期労働契約の利用可能期間」規制を提案している点です。前回の分科会では、利用可能期間を初めとした具体的数字が示されませんでしたが、今回初めて具体的な数字が明らかとなりました。

 有期労働契約の利用可能期間 上限5年
 クーリング期間 原則6ヶ月(有期契約が通算で1年未満の場合は、その2分の1)

これを超過し、有期労働契約を反復更新した場合、労働者の申出によって、当該労働契約は無期契約に転換する制度が提案されているものです。

問題はまずいつ転換されるかですが、厚労省担当者によれば、有期契約が終了した日の翌日から、無期契約になるとの事。

 また無期契約に転換した場合、その労働条件等が気になるところですが、これについて前述の建議では以下の記述が見られます。
「別段の定めのない限り、従前と同一とする。」

 したがって無期に転換したとしても、必ずしも既存の「正社員」と同様の処遇にすることが義務づけられるものではなく、労働条件等は有期契約時と同一のものが引き継がれることが「原則」となります。ただ気になるのが「別段の定めのない限り」との留保です。これについては、実務的にも十分に検討を要する点と思われます。

2011年12月15日木曜日

有期雇用法制の動向(利用可能期間制限案 平成23.12.14労政審段階)

昨日(平成23年12月14日)、労働政策審議会労働条件分科会を傍聴しておりましたが、同会に「有期労働契約の在り方に関する論点(改訂」が示されました(こちら)。労使ともに同ペーパーに対する評価を留保しており、ここに記載されていることが審議会報告書、さらには法案化されるのか未知数です。その点を留保しつつも、同ペーパーには幾つか大変注目すべき記述が見られますが、特に重要と思われるのが、以下の利用可能期間制限に関する提案です。

 有期労働契約が一定年数を超えて反復更新された場合には、労働者からの申出により、期間の定めのない労働契約に転換させる仕組み(転換に際し期間の定めを除く労働条件は従前と同ーとする。)を導入することについては、雇用の安定や有期労働契約の濫用的利用の抑制という観点から、評価できるのではないか。
この場合、次のような論点について、更に検討を深める必要があるのではないか。
①利用可能期間は何年とするか。
②同ーの労働者と無期転換の対象とならない有期労働契約を再度締結することができるようになるまでの期間(クーリング期間)を設けるとすれば、どのくらいの期間とするか。
③適用除外を設けることとするか。
④利用可能期間到達前の雇止めの懸念について、どのように対応するか。
⑤制度導入後に締結又は更新された有期労働契約から、利用可能期間の算定を行うことでよいか。

 研究会報告の段階から、有期雇用の不安定への対応として、更新回数・利用可能期間に対する制限が対応策の一つとして提示されていましたが、その一方、利用可能期間満了直前の雇い止め・雇用不安の懸念も強く指摘されてきました。そのため私見では、今回の報告書には回数・利用可能期間制限は盛り込まれず、雇い止め法理の明文化に留まる(なお策定されるであろうガイドラインに注意すべき)と観測していましたが、厚労省の事務方は、かなり踏み込んだ素案の方向性を示してきたものです。

 案の上、経団連は同方向性に対して、一様に強い抵抗感を示しており、最終報告書に残るかどうかは未知数です(残るとしても、両論併記型になるのでしょうね)。またこの方向性を示すとしても、①〜⑤の具体的数字等を如何に設定するか。この点については、労働側も産業ごとの事情もあり、一枚岩ではないようです。時間的にも2週間を切っており、数字の結論を示すことは容易ではなく、「政省令に委任」「同決定に際して、労政審で再度検討する」といったところが、厚労省側が考えそうな着地点でしょうか。

 なお数字として①について、7年〜10年あるいは3年〜5年などが非公式の形で飛び交っておりました。また②については、3ヶ月あるいは雇用保険の給付日数などの数字も上がっておりましたが、いずれにしても今後の課題と思われます。事務方は昨日の段階では「黙して語らず」であり、労使双方の意向を今なお探っている様子です。


2011年12月3日土曜日

労働安全衛生法案の国会提出

昨日(12月2日)、「労働安全衛生法案」が国会に提出されました(こちら)。産経ニュースによれば、以下の観測記事が示されています(こちら)。

政府は2日、事業者に全従業員への医師によるストレス検査の実施を義務づける労働安全衛生法改正案を閣議決定した。与野党が切り離しを求めた全面禁煙か喫煙室以外での喫煙禁止を義務づける規定も盛り込んだため、成立は困難な見通し。法改正への意欲を示すため、当初の提出見送り方針を転換した。 

 今国会の会期末が12月9日、会期延長したとしても「派遣法案」の審議が優先されるため、いずれにしても今国会での成立は困難で、来年の通常国会に持ち越しになるのが必至というところでしょうか。