先ほど厚労省HPに「労働基準関係情報メール」が正式発表されました(こちら)。
入力フォームは以下URLとの事(こちら)。
※内容のところに、3000文字以内で会社名、所在地、労基法違反の事実を記載するとの事。どんなものか体験したく、試しに以下のようなものを書いてみました(^^;)。
※内容
会社名:虎ノ門商事
会社所在地:東京都港区虎ノ門●○
労基法違反の内容
同社は●○の卸小売を主に営む会社であり、従業員●名であるが、私を含む社員○名に対して月80時間〜100時間以上の残業を行わせているにも関わらず、残業の自己申告時間を上限月30時間とし、これを超えた自己申告を受けず、月30時間を超えた残業代を平成○年以降、一切支払っていない。自己申告と実際の就労との矛盾点については、各自に支給されているPCのログインログオフ記録を確認することで判明するもの。長時間労働のため健康を害する同僚もいるので、なるべく早く労基署の調査を希望する。
これで300文字程度です。3000字となると、この10倍に及ぶため、かなりのボリュームのものが書けますね。
2011年10月31日月曜日
「強制労働」(労基法5条違反)の立件に思うこと
今朝の読売新聞ニュースに以下の記事が掲載されています。
「逃げたら殺す」強制労働容疑で男2人を逮捕
山口県警柳井署は30日、、建設業●○(49)、土木作業員●△(46)の両容疑者を労働基準法違反(強制労働)容疑で逮捕した。
発表によると、2人は共謀し、昨年12月30日と今年4月1日、離職しようとした福岡県内の男性土木作業員(41)に対し、頭を殴るなどの暴行を加え、「逃げたら追いかけて殺す」などと脅し、複数の土木工事現場でそれぞれ約3か月間と約40日間、労働を強制した疑い。2人とも容疑をほぼ否認しているという。(2011年10月31日07時40分 読売新聞 一部固有名詞を伏せ字に) (こちら)
労基法5条(強制労働の禁止)などは普段、紐解く機会がないのですが、まだまだこんな事件が日本で生じることがあるのですね。
それはさておき山口県警が労基法違反の容疑で逮捕した点は、色々と検討の余地があろうかと思われます。被害者の申立(告訴かもしれませんが)では「逃げたら追いかけて殺す」と言われたとの事。同事実関係が認められれば、労基法5条違反の立件は容易だと思いますが、気になるのが被疑者側が「ほぼ否認」している点です。被疑者が頭を殴った事を認めている一方、上記供述を完全に否認している場合、労基法5条違反での立件が可能かどうか懸念が生じます。
厚労省コンメンタールを見ても「暴行があっても、労働の強制の目的がなく、単に「怠けたから」又は「態度が悪いから」殴ったというだけでは本条の違反は構成せず、単に刑法の暴行罪を構成するにとどまるとの事(厚労省「労働基準法 上」90頁(労務行政))。同供述が否認された場合、暴行行為の前後において、被疑者が「労働の強制」の目的で、不当に拘束する手段によって「労働の強制」に至らしめたことの立証を要することになります。同事案は「拘束期間」が長いため事実関係を丹念に洗っていけば、この点の立証も可能と思われますが、捜査に手間がかかります。
それであれば、何故、警察が「暴行罪」ではなく、畑違いの労基法5条違反で立件したのか疑問が残るところですが、思うに罰則の重みがあるのやもしれません。労基法5条違反であれば、罰則は使用者に1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処せられる一方、暴行罪のみであれば2年以下の懲役又は30万円以下の罰金です。傷害罪を問えれば、労基法違反よりも重い罰則で問えますが、暴行後就労している事実からすると、傷害罪まで問うのは難しい可能性があります。
報道に接し、つらつらと考えたことを備忘録として。
2011年10月28日金曜日
賃金不払残業等情報メール受付(厚労省)について
毎年11月は厚労省による「労働時間適正化キャンペーン」が実施されていますが、本年新たな取り組みとして行うのが「賃金不払残業等の情報メール受付」です。その詳細が厚労省HPにUPされています(こちら)。
某インターネットニュースには「メールでの告発受付」と書かれていましたが、厚労省の発表を見ると「労基法等における問題の内容」についてメールで情報を受け付け、これを「関係する労働基準監督書へ情報提供するなど、業務の参考とさせていただく」との事。メール送信者からの照会については、「受け付けた情報に関する照会や相談に応じることはできませんので、あらかじめご承知おきください」としています。またメール送信者の名前は記入する要がないとする一方、会社名と所在地は必要記載事項となっています。
「真に権利救済を求めるのであれば、所轄労基署に申告等の手続きを取って下さい。このメール送付は、あくまで情報提供の一つにすぎませんよ」という事でしょうか。
厚労省は、本取組によって、様々なレベルでのメール情報を大量に受け付けることになると思われますが、この多種多様な情報を監督指導にどのように活用していくのか。また情報管理と活用が適切に行われるのか。様々な課題もありそうですが、まずは11月の運用がどうなるか注目されるところです。
某インターネットニュースには「メールでの告発受付」と書かれていましたが、厚労省の発表を見ると「労基法等における問題の内容」についてメールで情報を受け付け、これを「関係する労働基準監督書へ情報提供するなど、業務の参考とさせていただく」との事。メール送信者からの照会については、「受け付けた情報に関する照会や相談に応じることはできませんので、あらかじめご承知おきください」としています。またメール送信者の名前は記入する要がないとする一方、会社名と所在地は必要記載事項となっています。
「真に権利救済を求めるのであれば、所轄労基署に申告等の手続きを取って下さい。このメール送付は、あくまで情報提供の一つにすぎませんよ」という事でしょうか。
厚労省は、本取組によって、様々なレベルでのメール情報を大量に受け付けることになると思われますが、この多種多様な情報を監督指導にどのように活用していくのか。また情報管理と活用が適切に行われるのか。様々な課題もありそうですが、まずは11月の運用がどうなるか注目されるところです。
2011年10月7日金曜日
「社会保障と税の一体改革」のスケジュール
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