2010年8月4日水曜日

セクハラ・パワハラ調査機関判断の意義とは? 京大セクハラ事件の報から

 今朝の共同ニュースに大変、難しい問題が報じられています。
「女子大生が京大提訴 教授セクハラにも大学は「訓告」」(こちら)。

京都大経済学研究科の男性教授からセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)を受けたという女子学生の申告に、京都大の調査・調停委員会が7項目の不適切行為を指摘して懲戒相当と判断したのに対し、経済学研究科が2項目しか認定せずに訓告処分としていたことが、3日に分かった。女子学生は「関係者の影響力を排除し、全学の教職員による公正な手続きを保障した委員会設置の趣旨に反する」などと主張し、大学に約465万円の損害賠償を求めて京都地裁に提訴した。

 訴状によると、京大の人権委員会ハラスメント専門委員会は2008年5月、女子学生の申し立てに基づき、複数の学部の5教員で構成する調査・調停委員会を設置した。同委員会は09年9月に(1)「大学院をやめてしまえ」という趣旨の発言(2)論文指導の拒否(3)飲食に付き合わせて体を触り、自宅に誘った-など7項目を「不適切な言動」と認め、「経済学研究科は懲戒手続きを開始するのが相当」と結論付けた。

 これに対し、経済学研究科は今年3月、(1)と(2)のみを認め、教授を訓告処分とした。

 京大は「対応を検討しているところです」とコメントし、調査・調停委員会と経済学研究科の判断が異なったことについては「処分内容は一切言えない」としている。


 同記事では調査・調停委員会の判断が、その後の学部教授会の人事権行使にどのような意義を有するのか、特に報じられていません。恐らくは「諮問」的な役割を持たされており、懲戒権含む人事権行使の判断は教授会に委ねられていたのではないでしょうか。

 人事権者が調停委員会における諮問内容のとおり、人事権(事実認定の上で懲戒権を行使)を行使しなければならないかどうか。この問題が裁判所において争われることになりそうですが、調停委員会判断に対し、規則等でどのような法的効力を付与しているのかがポイントになるように思います。

 会社によっては、パワハラ・セクハラについて、相談・調査機関を人事部門と別に設置する例が見られますが、同機関の判断をどのように位置づけるか規程等で明確化していないと、同種問題が争われる懸念がありますね。

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