2009年5月30日土曜日

雇用調整助成金申請・支給の急増について


 先日、東京労働局の助成金窓口に照会のため、電話をしたところ、なかなか繋がりません。実際に足を運んでみると、納得。窓口には長い長い行列ができており、座る場所すらない状態でした。ほとんどの方は雇用調整助成金申請のためにお越しになられています(雇用調整助成金の概要はこちら、中小企業緊急雇用安定助成金はこちら)。

 そのような状況から見ても、雇用調整助成金申請・支給の増加は、まず間違いないところと承知しておりましたが、先日厚労省が公表した支給決定件数の動向を見ると、改めてその急増ぶりに驚かされます(平成20年度との比較はこちら)。本年4月の各都道府県ごとの計画届受理件数一覧をみると(こちら)、やはり東海地方がずば抜けて多いことが見て取れます。

 同助成金が下支えをなし、雇用維持がされている企業が多いことが予想されます。この助成金も無限に支給されるものではありませんので、何とか支給期間内に需要が回復してもらいたいものです。

2009年5月27日水曜日

平成20年労働災害発生状況について

 昨日、厚労省が平成20年の労働災害発生状況を公表しました(こちら)。

 昨年に比べ、死亡災害・重大災害ともに減少しましたが、そのうち交通事故(道路)、墜落・転落災害の減少が目立つようです。この災害減少は、何よりも企業・従業員の地道な安全活動の結果ですが、それと同時に昨年からの不況の影響がここにも出ているように思われるところです(輸送量、建設現場の減少→災害の減少)。

 忘れてならないのは、過去に比べ大幅に減少したとはいえ、昨年も1268名もの尊い人命が労働災害によって失われているという事実です。前々職で災害現場に立ち会うことがありましたが、今なお被災労働者遺族の悲痛の声を思い出し、胸が痛くなります。

 死亡・重大労働災害防止のためには、結局のところ、地道な安全活動が最も早道です。今朝も様々な職場で、安全朝礼がなされていると思いますが、労使双方ともに大事にやり続けていただきたいと折に願うものです。

2009年5月26日火曜日

改正障害者雇用促進法と特例子会社・企業グループ特例

 昨日、経団連の輪島忍氏が講師を務められた「改正障害者雇用促進法への企業の実務対応策」(労働開発研究会例会)を聴講しました(セミナー企画担当)。

 障害者雇用促進法の基礎(法定雇用率の考え方等)から、法改正事項、そして今後の動きとして注目される障害者権利条約批准に向けた対応、助成金まで多岐にわたり、誠に要領よくご講演いただきました。(改正障害者雇用促進法についての厚労省資料はこちら

 輪島氏の講演の中で非常に勉強になったのが、特例子会社設立に向けた動きです。厚労省は第二次補正予算において、特例子会社等設立促進助成金を創設し、同制度奨励を積極的に進めようとしているものです(千葉労働局による案内はこちら)。かなり手厚い奨励金ともいえ、会場でも同奨励金利用を契機に、特例子会社設立を真剣に検討しているとの声も出ておりました。

 しかしながら同じく話が出ていましたのが、特例子会社設立のハードルの高さです。実際に導入を検討すると、特例子会社の認定基準(こちら)とその運用、また社内的にコンセンサスを得られるかどうかなど、導入に向けたハードルが思いの外、高く感じられ躊躇する企業が多いようです。導入企業グループの大半が1000人以上規模の大企業であり、中小企業には敷居が高い制度の感があるやもしれません(※なお特例子会社の設立件数の実数をみると、ここ5年で急速に増加 2002年113社→2007年223件)

 このような声を受けてか、今回の法改正では、特例子会社を持たなくても、企業グループ全体で実雇用率を算定できる特例制度が設けられました(詳細については、こちら p6)。ただし、同パンフレットにあるとおり、すべての子会社において障害者雇用率が1.2㌫以上であることなど、一定の要件が課されています。これらの点をチェックの上、同制度活用を検討する方向も考えられそうです。

 また今後の課題ではありますが、障害者権利条約における障害者差別禁止、合理的配慮の理念と特例子会社制度、企業グループ特例との関係をどのように考えるか、大変難しい問題が残されています。厚労省の研究会が今年中に中間報告を出す予定とのことですので、注目したいと思います。

 なお季刊労働法の最新号(6月15日発売予定)は、障害者雇用問題を特集しております。研究者による力の入った論考が多数掲載されておりますので、ご関心のある方はぜひ(詳細はこちら

2009年5月21日木曜日

新型インフルエンザと時間外労働

 田代眞人監修・岡田晴恵編著「新型インフルエンザの企業対策」(日本経済新聞出版社)を斜め読みしました。強毒性の鳥インフルエンザを想定した書物のため、これがそのまま現状にあてはまる訳ではありませんが、インフルエンザの基礎知識から、パンデミック時のシュミレーション、企業の事業継続計画まで大変、読み応えのある一書です。

 その中で読みやすく、かつ参考になったのが、企業事例の紹介です。ここでは東京電力、イオン、大幸製薬の対策例が紹介されています。いずれもシュミレーションに基づく具体的な対策例ですので、他業種の担当者の方がみても、参考になるところが多いと思われます。

 そこで労基法がらみの問題で気になった点が1つ。同書206pに東京電力さんの企業事例が紹介されている中に、「パンデミック時には事業所に泊まり込みとなって少人数で業務を遂行する事態も想定されるが、その場合、時間外労働や休憩・休日など、労働基準法上の保護規定を完全に遵守することは難しいということである」との記述がありました。

 確かにパンデミック時には、欠勤者が2割あるいは4割にも及ぶとされており、電力供給を継続する場合、出勤者がその穴埋めのため、長時間・休日労働をせざるを得ないことが容易に想定されるところです。この場合、特に限度基準告示どおりの36協定であれば、それを超えた残業をさせざるを得ない恐れが生じます。おそらくはこの点をさして「労基法上の保護規定を完全に遵守することは難しい」と結論づけておられると思われます。

 その一方、労基法には「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等」(同法33条)という規定があります。この規定は災害等によって時間外労働等の臨時の必要性があり、かつ事態急迫のために労基署に事前許可を受ける暇はないときは、事後に届け出ることをもって、時間外労働を行わせることができるとするものです。例えば、鉄道事業等で想定しない積雪があり、夜を徹して除雪作業を行わなければならない場合など、その翌日にこの33条届が労基署に提出されることがあります。

 ここでいう災害は自然災害のみならず、火災、爆発などの非自然災害、あるいは内乱、暴動などの事変も含むとされています。つまり人の身体生命や企業の財産等の危害を及ぼす事故又はそのおそれのある事故を意味するとされており、先の新型インフルエンザの爆発的流行(パンデミック)も、ここにいう「災害」に含まれるものと考えます。

 特に生活インフラを支える電力、水道、鉄道、小売流通などの事業は、パンデミックの際も極力、事業の継続が社会的に強く要請されます。その観点から見れば、欠勤率が高い中、出勤者に対し、36協定を超える時間外労働を命じることは「臨時の必要性」「事態急迫性」が認められると思われます。したがって、同書の東京電力については、33条に基づく事後的届けをもって、労基法上も適法化しうる余地が高いと考えるものです。もちろん事後届けを忘れてはならないのは当然ですし、事態が沈静化した際は速やかに従前どおりに切り替えることが必要でしょう。

 幸いなことに現状においては、ここまで深刻な企業対応を考える要はないようです。いずれにしましても、新型インフルエンザ問題が一刻も早く収まることを願います。
 

2009年5月20日水曜日

昨日のセミナー講演について

 昨日は(株)労働開発研究会例会セミナーで「平成21年度労働行政運営方針の解説」を講演いたしました。大勢の会員にお越しいただき、誠にありがとうございました。

 前半は労基署行政の概要を、後半は本年度の行政運営方針において注目すべき点を解説させていただきました。アンケートを拝見したところ、お越しいただいた会員の皆様におおむねご満足いただけたようで、胸をなでおろしております。

 昨日の講演は全体像を中心としたものでしたが、今後は労働時間、問題社員対応、安全衛生など個別テーマごとに行政活動の現状とその対応をご解説するセミナー等を企画する予定です。

 それにしましても、講演後に飲むビールはうまいものです(笑)。

 

2009年5月18日月曜日

新型インフルエンザと休業手当(労基法)

 先週末から関西地方を中心に、新型インフルエンザ問題への対応が深刻化しつつあります。企業によっては、すでに「出張抑制」、「手洗い・マスク着用の上でのサービス提供」、「時差出勤」など、一定の対応を取りつつあるようです(nikkei net 09.05.18)。

 このような企業人事対応の中で、悩ましいのは休業手当の問題ではないかと思われます。ある都市銀行では、窓口担当者の発症を受け、行員70名を自宅待機とした旨、報じられています(産経ニュース 同)。発症した社員は私傷病を理由とした休業であり、諸規定に基づき対応することは当然として、問題となるのは、それ以外の社員に対する休業です。

 また今回のインフルエンザは若年者に対する感染が目立つため、学校の一時休校が相次いでいます。中高生であれば、一人でお留守番させることは可能であるとしても、保育園・小学校低学年の場合は、休校の際、親も休まざるをえません(その場合も無認可保育園に預けるということもありえますが、やはり難しくなってきているようです 関連NEWS)。
 このように本人が発症していないものの、同僚の発症を受けて感染が疑われる場合、または子の休校の場合における休業に対して、賃金支払いをどのように考えるべきでしょうか。

 労基法では、同法26条において次のとおり、規定を設けています。「使用者の責に帰すべき事由による休業においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の60以上の手当を支払わなければならない」。ここでいう「使用者の責に帰すべき事由」について、厚労省は「第一に使用者の故意、過失又は信義則上これと同視すべきものより広く、第二に不可抗力によるものは、含まれない」としています。

 先の休業がこれに該当する場合、使用者は休業手当の支払い義務を負うことになりますが、まず子の休校に伴う休業については、いかに考えても「使用者の責に帰すべき事由」にあたりません。したがって、この場合は無給でも法的に問題はありませんが、従業員の「子育て支援」対策の観点から、対応を行うことも一方では望まれるところです。

 これに対して、従業員感染に伴う他社員への対応は難しい問題です。新型インフルエンザは2~3日の潜伏期間後、症状が出るとのことです。また潜伏期間中も感染させる恐れがあるとされていることから、他社員・顧客・通勤時の周辺者等への感染を防止する意味でも、潜伏期間中の一時待機は十分に合理的なものと思われます。このように、同一時待機の目的が、感染防止という社会的危機への対応と捉えれば、その休職はやはり「不可抗力」にあたるものといわざるを得ず、一時待機に対する休業手当の支払い義務は生じないものと考えます。

 しかしながら、この議論の前提としては、他社員への感染の可能性があります。別フロアーの社員で、すべての行動範囲からみて感染の恐れがないにもかかわらず、一時待機を命じるような場合は、その待機に合理的理由がなく、休業期間中の賃金支払い義務が生じる可能性もあります。デリケートで、かつ迅速な対応が望まれるところではありますが、感染の恐れがあるか否かについては、産業医など専門家の意見を聞きながら判断を行う要がありそうです。

 また法的にはともかく、潜伏期間中の一時待機期間を無給とすると、従業員(感染社員含めて)が会社に対して、適切な報告を躊躇し、早期対応が図れない懸念もあります。会社出入り口で体温を測定するなどの動きも見られますが、やはり自己申告が新型インフルエンザの早期発見・対応にあたり、不可欠であることは論を待ちません。発症前の潜伏期間中の休業については、この見地から、特別に会社側が賃金を支給することも、新型インフル対策上、十分に検討されるべきと思われます。

2009年5月13日水曜日

(読書)「走ることについて語るときに僕の語ること」

 村上春樹さんのエッセー集。タイトルのとおり、マラソン・トライアスロンなど、「走る」ことをテーマにしています。これが実におもしろい。村上春樹さんが小説家となった経緯が触れられている「人はどのようにして走る小説家になるのか」は、何度読み返しても、新鮮な示唆が与えられます。

 その中でもお気に入りの部分は、仕事の仕方です、村上さんは朝5時前に起きて、早朝の数時間で大事な仕事に集中されるとのことです。私の僅かな経験でも、何かを書くという作業は、早朝が最も適していると確信しています。

 それぞれが最も効率的な仕事の仕方が発見でき、選べること。仕事の仕方、働き方の将来像という問題は、これからの勤労者(サラリーマン・自営含め)が今より少しわくわくできるテーマのように感じています。暗い話題が多いところではありますが、そのようなテーマもこれから考えていきたいですね。

2009年5月10日日曜日

ロックアウト法理についての雑感②

 前述のとおり、使用者によるロックアウトが法的に認められるものとして、その法的効果は如何なるものがあるのでしょうか。

 労働組合の争議戦術として、よく取られてきたのは、争議中の操業を防止すべく、ストライキ期間中の職場内占拠・滞留でした。まずロック・アウトを使用者側が通告することをもって、労働組合側に退去等の法的義務が生じるか否かが問題になります。過去の裁判例をみると、ロック・アウトからただちに同法的義務が生じるかのような判断を示した下級審判決も少なくありませんが、現在の通説ではおおむね否定説が有力です。ただし、使用者側が施設の所有権・占有権(施設管理権)等を根拠に、労働組合側に退去等を求め、これに従わないものに対して、裁判上の請求を行うことは当然許容されるものです。また職場占拠中、施設備品を毀損した場合に、損害賠償請求を行えることも当然です。

 次に問題となるのは、ロック・アウト期間中の賃金請求権です。これについては丸島水門製作所事件最高裁判決において、次のとおり判示されています。
 (使用者側ロックアウトの)「相当性を認めうる場合には、使用者は、正当な争議行為をしたものとして、右ロックアウト期間中における対象労働者に対する個別的労働契約上の賃金支払義務をまぬかれるものといわなければならない。」

 ロックアウトの正当性が認められる限り、同期間中の賃金支払い義務は免れることになるものです。これに対して「争議期間中に賃金支払い義務はそもそもないはずだから、このような判示部分は意味がないのでは」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。実は私も初めて、このロック・アウトを勉強していた際、よく分からなかった点でした。
 これについては、前回ご紹介した争議戦術の多様性を思い出していただく必要があります。我が国の労働組合の争議は、全日ストライキだけではなく、波状スト、時限スト、部分ストから怠業、車両のキー保管戦術まで多種多様です。この戦術の中には、部分スト、怠業等のように、争議行為と労務提供が混在しているようなものが含まれています。

 この混在型の争議戦術の際、部分的な労務提供に対し、使用者に賃金支払い義務が生じるとすればどうでしょうか。これに対する対抗手段として、使用者側が正当な「ロックアウト」を行うことによって賃金支払い義務が生じないとすれば、同対抗措置は法的にも大いに意義あることとなります。

 しかしながら、その前提自体に疑問がない訳ではありません。そもそも、怠業、部分ストなど争議と労務提供が混在している場合における労務提供に、賃金支払い義務が生じるものといえるのでしょうか。もちろん事案によって異なるものですが、例えば1時間の労務提供のうち、最後の5分間の労務が決定的意義を有し、これを怠ることは55分間の労務提供を無価値にする性質のものも当然、存在します。一例を挙げれば、自動車教習所における教習時間において、教官が50分の教習を終えた後の最後の確認テストを「ストライキ」した場合、それ以前の50分間はすべての利害関係者にとって無価値になることは明らかです(学生にとっては、よい練習になったかもしれませんが、単位を取れないことには変わりありません・・・)。
 この場合における賃金請求権の問題をどう考えるかは、私にとって大学院入学以来の積み残し続けてきた課題です。裁判例の集積を待つとともに、勉強を深めていきたいと考えています。

 

2009年5月9日土曜日

ロックアウト法理についての雑感①

 最近、暇をみつけては勉強をしているのが、労働組合法におけるロックアウト法理です。ロックアウトとは、労働組合によるストライキなどの争議戦術に対抗して、使用者側が同労組の労務提供不受理もしくは事業場閉鎖などを行うことを指します。昭和30~40年までは、人事労務実務そして労働法学などで非常に関心を持たれていましたが、著名な最高裁判決(丸島水門事件 最3小判昭和50年4月25日)以降、労働法学上の論争が下火になるとともに争議件数自体の低下に伴い、ここ何十年かは、あまり関心を持たれてこなかったテーマです。しかしながら今年に入り、労働組合とりわけ地域労働組合が積極的な活動を行っています(最近では京品ホテルにおける生産管理闘争など)。改めて労組の争議戦術とこれに対する使用者側の対抗手段を法的に振り返っておく意義が高まっていると感じており、整理をしている次第です。

 ロックアウトが昭和30年代などに実務で行われていた背景としては、当時の労働組合の多様な争議戦術がありました。ストライキ一つとっても、終日行うものから、時限スト(時間を区切って行う)、指名スト(指名された組合員のみのスト)、波状スト(争議を波状的に繰り返す)、部分スト(争議組合員の一部がストをし、それ以外の作業部門を計画的に麻痺またはストップさせること)などがありました。
 またその他、争議戦術として、怠業(能率を低下させるサポタージュ)、納金スト、車両のキー保管戦術、さらには極端なものとして、生産管理(労働組合が生産設備等を自己の占有下におき、自らの管理下で企業経営を行うこと)がなされていました。

 これら多様な争議戦術の中には、波状スト、時限ストのようにストライキの時間自体は短くとも、企業経営に対し、非常に深刻なダメージを与えるものが含まれていました。たとえばテレビ局の例でみると、番組放送は行うも、コマーシャル放送の2~3分のみストライキとして、放送を行わないとすればどうでしょうか。このようなケースにおいて、使用者側の争議対抗手段として取られてきたのが、ロックアウトでした。このロックアウトはそもそも労働組合法上、何らの規定がなく、わずかに労働関係調整法において「作業場閉鎖」の名称で規定化されているにすぎませんでした。ロックアウトが果たして使用者側の争議対抗手段として法認されるのか否か長い論争が繰り広げられていましたが、その終止符を打ったのが、先の丸島水門事件です。同最高裁判決は以下のとおり判示します。

「労働者の提出する労務の受領を集団的に拒否するいわゆるロックアウト(作業所閉鎖)は、使用者の争議行為の一態様として行われるものであるから、それが正当な争議行為として是認されるかどうか、換言すれば、使用者が一般市民法による制約から離れて右のような労務の受領拒否をすることができるかどうかも、右に述べたところに従い、個々の具体的な労働争議における労使間の交渉態度、経過、組合側の争議行為の態様、それによって使用者側の受ける打撃の程度等に関する具体的諸事情に照らし、衡平の見地から見て労働者側の争議行為に対する対抗防衛手段として相当と認められるかどうかによってこれを決すべく、このような相当性を認めうる場合には、使用者は、正当な争議行為をしたものとして、右ロックアウト期間中における対象労働者に対する個別的労働契約上の賃金支払義務をまぬかれるものといわなければならない。 前記二のような見地からすれば、前記三のような具体的事情のもとにおいてされた本件ロックアウトは、衡平の見地からみて、労働者側の争議行為に対する対抗防衛手段として相当であると認めることができる。」(全基連HP 参照

 以上のとおり衡平の見地から使用者側のロックアウトの相当性を判断する基準は、同最判によって確立しており、現在においてもその基準に変化はありません(個別判断の積み重ねあり)。

 では、このロックアウトが認められたとして、その法的効果はどのようなものがあるのでしょうか。この問題は次回改めて整理してみます。

2009年5月6日水曜日

事務所開きと川村カオリさんのこと

 5月1日から三鷹のSOHO施設を借りて、事務所を設けることになりました。
このゴールデンウィークはその準備+子育てにてんてこ舞いでしたが、ようやく形になりつつあります。

 落ち着いて仕事ができる環境ができたことは何よりも嬉しいことと実感しております。また、おかげさまで幸先から幾つかお仕事を頂けることとなり、嬉しい限りです。

 ところで昨日、川村カオリさんのLIVEに旧友と連れだって行きました。中高生の時、彼女の歌声に励まされたことを思い出しながら、昔の曲を聴くのかなぁと感傷的な思いでコンサート会場に向かいました。しかし、彼女は良い意味で期待を裏切ってくれ、昨日のLIVEも新しい曲、取り組みに幾つも挑戦していました。何よりも彼女の歌い続けるという情熱に強く胸を打たれた次第。

 私もこれから少なくとも30数年、事業を継続していかなければなりませんが、彼女の歌声はこれからも大いに力を与えてくれるものと思います。川村カオリさん、ありがとう。