2015年2月26日木曜日

管理職の継続的なセクハラ発言に対する出勤停止処分・降格の可否

 管理職の継続的なセクハラ発言に対し、懲戒処分としての出勤停止と人事権行使による降格処分をなすことが認められるのか。1審(処分有効)、高裁(処分無効)の判断が分かれていたところ、最高裁(最1小判平成27年2月26日)は結論として当該出勤停止と降格処分双方の有効性を認め、高裁判決を破棄自判しました(最高裁判決はこちら。また時事通信配信記事はこちら)。

 懲戒処分等を無効とした高裁判断を善解すると、懲戒権濫用法理(労働契約法15条)を前提に、まずは戒告処分、その次に厳重注意処分・・・出勤停止など、段階を踏んだ教育指導・懲戒処分がなされない限り、同濫用法理が求める「社会通念上相当」な懲戒処分ではないと解したようです。

 ただ本件の特徴としては、第1に加害者が管理職であること、第2に1年近く継続して悪質なセクハラ発言が繰り返しなされていた(発言内容等については最高裁判決p11の別紙参照)点が認められます。この点を十分に考慮すれば、注意処分などの段階を踏まずに出勤停止処分等を行ったことは、必ずしも懲戒権濫用法理における「社会通念に反する」ものとはいえず、やはり1審および本最高裁判断が妥当と思われます。



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